5階に展示されている作品のなかで多くの人が集まっているのはゴッホ、ピカソ、そしてアンリ・ルソー。ちょっと驚きなのはルソー(1844~1910)、20年前はこんなに人はいなかった。でも、今は大変な人気。
‘眠るジプシー女’も‘夢’も大きな絵、本物をみたのはずいぶん前だから普段は美術本の図版でのつきあい、これに慣れると絵のサイズはとんでしまう。‘夢’が縦2m、横3mもあるどデカい絵であることをすっかり忘れていた。
‘眠れるジプシー女’はへんな絵だが、不思議な魅力をもっている。一見舞台の書割りの感じ、右からマンドリン、横たわるジプシー女、そして置物のようなライオン、幼稚園の園児たちがこの3つの作り物を斜めにべたっと貼り付けたのかなと思ってしまう。それにしても怖くないライオン、ライオンキングはこの絵から生まれた?
この絵がとても静かでポエジーなのに対し、‘夢’は東洋風にいえば極楽浄土の世界。草木の緑が‘蛇使いの女’(1907年 オルセー)同様印象深く、果物の橙色や花びらのうす青やピンク色も目に心地いい色調。主役の植物に囲まれて裸婦がソファーに横たわり、ライオンや象、猿、そして大きな鳥が思い々のポーズをとっている。まさに熱帯の楽園、時間はあればずっとみているのだが、、
ピカソ(1881~1973)が生み出したキュビスムを象徴する作品‘アヴィニョンの娘たち’、この有名な絵を拙ブログではまだとりあげてなかった。なんとはなしにその機会がなかった。1990年にやって来たとき、この絵の前では‘これが本物か!’と夢中になってみた。
印象に強く残っているのは右の2人の女、その刷毛を緩やかに曲げたような鼻からは小さいころ動物園でみたマントヒヒの鼻を連想した。今回は左端に立つ女をMETで会った‘クーロス’の逞しい足のことを思い浮かべながらみていた。
ピカソの作品は数多く展示してあったが、リスト載せていた新古典主義時代の‘泉の女たち’と対面できたのは幸運だった。量感のある人物表現にぐっと惹きこまれる。