メトロポリタン美から北に15分くらい歩いたところにあるグッゲンハイム美、2013年に訪問したときは特別展が終了した直後で螺旋状の回廊がクローズされており、一部の部屋に展示されている作品だけしかみれなかった。
そのため、今回はそのときの消化不良を解消しようと意気込んで入館した。ところが、今回も展示のイメージが異なっていた。6階分ある螺旋状の回廊には一人の作家の作品で埋め尽くされていた。この展示スペースはどうやら回顧展などの企画展のために使われているようだ。そのため、ここに展示されていると思ってつくった必見作品は全部空振り。この美術館とはどうも相性がよくない。
いわゆる常設展示といえるものは回廊の横につくられている2つの部屋だけ。ひとつはグッゲンハイム自慢のコレクションであるカンディンスキー(1866~1944)、これまでにみたことのある作品が6点くらいでていた。そのなかでお気に入りは‘黒の線’。
もうひとつの部屋は3年前にもたくさん飾ってあったところ。ここにあげたピカソ、アンリ・ルソー、マネの絵は1993年にみて以来だから、22年ぶりの対面。足が思わずとまったのがピカソ(1881~1973)が19歳のときに描いた‘ムーラン・ド・ラギャレット’、左端でドキッとするほど妖艶な笑いをみせている女性に目が釘づけになった。
ルソー(1844~1910)は3年前幸運にもリストに二重丸をつけていた‘フットボールをする人々’と遭遇し、今回は久しぶりの‘砲兵たち’、ルソーに強く心を寄せているのでミューズがまた会わせてくれたのだろう。感謝!
マネ(1832~1883)は女性の姿をいろんな角度から描いている。正面、横向き、斜め横、そして後ろ向きと、後ろ向きは3点ある。‘鏡の前’を‘鉄道’(ワシントン ナショナルギャラリー)にでてくる女の子、そして、‘フォリー=ベルジェールの劇場のバー’(ロンドン コートールド美)に描かれた女給の鏡に映った後ろ姿を思い浮かべながらみていた。