モンドリアンの‘ブロードウェイ・ブギウギ’(1942~43年)
MoMAが所蔵する作品の情報を得るベースとなっているのは前回訪問したとき手に入れた図録。日本語版はなく英文だが、150点が掲載されている。今回リカバリーできたのを含めこれまでみたのは93点。全点に済みマークがつくのはまず無理だが、みたかった作品はおおよそ目のなかにおさめたので気持ち的には楽になった。
モンドリアン(1872~1944)の‘ブロードウェイ・ブギウギ’は抽象絵画の美を競ったら確実に五本の指にはいる傑作。この画面ではそれまでの作品にみられた黒の線が消え、縦横にのびた黄色の帯が明るく輝き活気に満ちたNYの街並みを見事に表現している。感心するのは余白のつくりかた。交差する線と正方形、長方形でつくりだす全体の構成に間があいたり、またビジー過ぎることがないように余白をうまく配置している。
リストに◎をつけていたニューマン(1905~1970)の赤の色面、本物は圧倒的な赤だった!大変デカい作品で縦が2.42m、そして横はなんと5.43mもある。その巨大なカンバスにどどっと赤一色。ジップと呼ばれる5本の垂直の線条は即興的に引かれた感じだが、線と線の間隔が絶妙で画面を引き締めている。ニューマンを沢山体験しているわけではないが、この作品がベストワン。一生の思い出になりそう。
ニューマンより2歳年上で同じ年に亡くなったロスコ(1903~1970)、1949年に制作された‘NO.3/NO.13’はフィリップスコレクションでみた作品同様、その色彩の美しさに心がとろけんばかりだった。ロスコの描きだす色面の組み合わせは言葉では言い尽くせない魅力を秘めている。色彩美を肌で感じたいと思ったらロスコとニューマンをみるのが一番かもしれない。
ポロック(1912~1956)は2点あった。一点は初見だったが、‘五尋の深み’は日本で2001年お目にかかった。ポーリング全開の作品に魅了されているので、分厚くぬられた塗料を隅から隅まで夢中になってみた。とくに緑色のところは目に力が入る。