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Clik here to view. アンリ・ルソーの‘ピエール・ロティ’(1906年)
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Clik here to view. ヴァロットンの‘アルプス高地、氷河、冠雪の峰々’(1919年)
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Clik here to view. モネの‘陽のあたる積み藁’(1891年)
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Clik here to view. セガンティーニの‘虚栄’(1897年)
国立新美で行われている‘チューリヒ美展’(9/25~12/15)をみてきた。サブタイトルの‘印象派からシュルレアリスムまで’が示す通り、近代絵画のいろいろなジャンルの作品が集まっているのでおおいに楽しませてくれる。
作品の数は全部で74点、展示の仕方はひとつは作家でまとめ、もうひとつは絵画運動や表現様式でくくられている。収穫は期待通りいくつもあった。その筆頭がアンリ・ルソー(1844~1910)、ここ数年ルソーとの相性がとてもいい。昨年アメリカと日本で10点遭遇し、今年はチューリヒ美にある‘ピエール・ロティ’がわざわざ日本にやって来てくれた。
この人物をはじめてみたとき、トルコの男性が民族舞踊を踊る際被っている帽子とダブってみえた。顔の描写は向かって右のほうをちょっと立体的にしている。左にいる猫が正面を向いているのはルソー絵画の特徴、また肩越しにみえる工場の煙突はどういうわけか煙は一本だけからしかでていない。未見のルソーとの対面が叶うと今は心が大きな満足感で満たされる。だから、この展覧会はこの1点だけで◎ あとはオマケがいくつついてくるか。
昨年の秋からヨーロッパでブレイクしているヴァロットン(1865~1925)、6月三菱一号館美で回顧展を楽しみ、そのいい流れがここ国立新美でも続いている。展示されている4点のなかで関心を寄せている氷河をえがいたものにぐぐっと惹きこまれた。薄い青緑で表現されたボリュームのある氷河が強い存在感を放っている。これはいい絵をみた。隣にある‘日没 ヴィレルヴィル’はムンクと小野竹喬の絵をミックスした感じ。
モネ(1840~1926)は4点、チラシに大きく取り上げられていたのが‘睡蓮の池、夕暮れ’、この縦2m、横6mの大作への期待値はじつは半々だった。もしよければ大サービスで作ってくれた大きなチラシを部屋に飾るつもりでいた。でも、それはなくなった。悪い予感のほうがあたった。色彩、光の表現に丁寧さ、強さがなく心を打たない。絵は大きさではない。
朝日新聞に学芸員が‘ついにこの作品が日本へやってくる。わくわくしています’と書いていたが、だまされという気分、このひとはモネの絵をあまりみていないのでは。これから行かれる方はこの絵には期待しないほうがいい。モネのことならお任せあれ!モネの魅力が画面いっぱいにあふれているのはカンディンスキーが感動したという‘陽のあたる積み藁’のほう、4年前パリのグランパレであった大回顧展にも展示された。また、‘国会議事堂、日没’の光の描写も美しい。
入ってすぐのところに飾ってあるセガンティ-ニ(1858~1899)の‘虚栄’を長くみていた。3年前の回顧展で心を奪われたので再会できたのは嬉しい限り。