モンドリアンの‘ブロードウエイ・ブギウギ’(NY MoMA)
ポロックの‘ポーリングのある構成Ⅱ’(ワシントン ハーシュホーン美)
美術館を訪問しいろいろな作品を楽しんだあと、どれが一番心に強く残ったかを目をつぶって思い出してみると名作のひとつやふたつはすぐでてくる。NYにある近代美術館(MoMA)の場合、モンドリアン(1877~1944)が描いた‘ブロードウエイ・ブギウギ’は極めつきの一枚かもしれない。
昨年、この絵を20年ぶりにみた。正方形の画面に縦横に走る黄色の線はマンハッタンの夜景のイメージにピッタリ。人も車も軽快に動き華やかな雰囲気が満ち溢れている大都市、NY。リズミカルでウキウキするようなこの抽象画をみるたびにNYにまたやって来たことを実感する。
ポロック(1912~1956)の回顧展が2年前東近美で開催された。それまでポロックの作品をまとまった形でみることがなかったから、目に前に現れる作品に大興奮。とりわけ感動袋がパンパンに膨らんだのがワシントンのハーシュホーン美が所蔵する‘ポーリングのある構成Ⅱ’。
水を水槽に貯めそこに数種類の色のついた油を流すと色と色は互いに接触し絡み合い不思議な模様ができてくる。ポロックのこの作品はそんな偶然できた色彩の美を喚起してくれる。黒の自由奔放な線や点はそれだけでは重い感じがするが、緑や青や赤のなかにまじるとそれら色を引き立て、同時に黒自体の力強さが輝きだす。
ブローネル(1903~1966)とキューバ人のラム(1902~1982)の作品に登場する生き物あるいは人間は原始社会に存在するものにみえる。人体は思いきりひきのばされ、手足はくにゃっと曲がりなかには切断されたものもある。ラムの絵には仮面がみえるから中南米の古代文明、あるいはアフリカの原住民が目の前をよぎる。
ラムの描く人物は足が異常に大きいのに対し、ブローネルは顔にグロテスクな仕掛けをする。頭の後ろから手がのび、魚がでてくる。あまり長くみていると夢でうなされそう。