世田谷美で行われているジャポニスム展は9月15日まで。あと2週間ちょっとなのでこれから入館者はぐっと増えるのではなかろうか。最後の3連休は大賑わいとなりそう。
ジャポニスムの名前がついた展覧会をみるのは二度目。最初の体験は1988年に西洋美で開かれたもの。これはパリのグラン・パレと西洋美で行われた超一級の展覧会だった。このときやって来たのが今国立新美のオルセー展に展示してあるマネの‘笛を吹く少年’。
ワンラウンドをこなしたジャポニスムなので、ボストン美のコレクションを軸にしたジャポニスム展はちょっと余裕をもってみられる。お目当てのモネの‘ラ・ジャポネーズ’とゴッホの‘ルーラン夫人’をみたあとはさらさらとみていたら、最後のコーナーにすごい絵が並んでいた。
モネ(1840~1926)の‘積みわら(日没)’,‘睡蓮の池’、そして‘睡蓮’、ええー、これが来ていたの!それならそうと早くいってよ、という感じ。ボストン美はモネのいい絵をたくさんもっているが、この3つはトップランクの作品。
連作‘積みわら’のなかで最も光に輝いているのがこのボストンにあるもの。はじめてこの燃え立つような積みわらをみたときは体が震えた。溶岩を思わせるような赤と背景の黄金の輝きにもみえる陽光の黄色。モネは日没の積みわらに大感激したにちがいない。この絵とここで会えるとは思ってもいなかったから、一気にテンションが上がった。
‘睡蓮’も‘積みわら’同様200%心を奪われている。モネが数多く描いた睡蓮には太鼓橋を入れて描いた‘睡蓮の池’と池に咲く睡蓮だけを描いた‘睡蓮’があるが、数では後者のほうが多い。ボストンにあるこの‘睡蓮’はオランジュリー美蔵の大作睡蓮などとともにベスト5に入れているほど思い入れの強い作品。日本ではこれまでBunkamuraと名古屋ボストン美でみる機会があった。
この展覧会は中間と最後の部屋に傑作が配置されていた。まさに‘ピーク&エンドの法則’を使っている。ほかに足がとまったプラスアルファは2点の版画。思わず笑ってしまったマネ(1832~1883)の‘猫の逢引’と今が旬のヴァロットン(1865~1925)の‘にわか雨’。ますますヴァロットンに嵌っていく。