海外の美術館を訪問したとき図録を買うのはルーチン、オルセー美のものは今2冊ある。これに日本で開催されたオルセー展のとき手に入れたものが加わる。そのためオルセーが所蔵する作品の情報はかなり集まってきた。
今回のオルセー展は充実したラインナップで構成されている。おかげで図録や美術本に載っている作品に済みマークの印、黄色のマーカーがだいぶついた。現地で手に入れた図録をみてあらためて感心するのはここに載っているものがどどっと国立新美で展示されていること。印象派の名画、全部みせます、お楽しみあれ!といってもらっているようで気持ちがいい。
モネ(1840~1926)は8点、‘アルジャントゥイユのレガッタ’や‘サン=ラザール駅’、‘かささぎ’のような傑作がさらっとおかれているのだからたまらない。そして、セザンヌ(1839~1906)も多く7点、そこに現地でみたという実感がなかった‘レスタックから望むマルセイユ湾’が含まれていたので嬉しくなった。セザンヌの風景画は構図に安定感があり大変魅了されている。
4点あったドガ(1834~1917)で長くみていたのは競馬場の光景をえがいたもの。ドガは馬でもバレリーナでも動きの瞬間をとらえるのが天才的に上手い。左の馬が興奮気味でいれこみすぎているのを騎手が懸命になだめている。激しいレースになりそうな予感。
印象派では兄貴格的な存在であるピサロ(1830~1903)の作品で最も惹かれているのが今回やって来た‘赤い屋根’、しばらく息を呑んでみていた。シスレーで足がとまったのはルーヴシエンヌの風景を描いた‘道’と‘雪’、昨年東京富士美であった印象派展でシスレー作品に数多く遭遇したが、その縁がまだ続いている。