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‘もののあはれ展’ 内容はいいが不満の募る展示期間!

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     ‘佐竹本三十六歌仙絵 藤原高光’(重文 鎌倉時代 13世紀 逸翁美)     

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     ‘秋草鶉図屏風’(重文 右隻 江戸時代 17世紀 名古屋市博)

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     狩野永納の‘春夏花鳥図屏風’(右隻 江戸時代 17世紀 サントリー美)

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                鈴木其一の‘柿に月図’(江戸時代 19世紀)

サントリー美で4/17から行われている‘もののあはれと日本の美’展(6/16まで)、びっくりするような名品がいくつもでているので相当気合が入っていることは容易にわかる。そのなかに追っかけ画が5点もあるから楽しみは多い。

今回‘佐竹本三十六歌仙絵’が3点(いずれも重文)でてくる、‘藤原高光’(展示5/6まで)、‘藤原仲文’(5/8~5/20 北村美)、‘源順’(5/22~6/16 サントリー美)。この歌仙絵はこれまで運よくみられたのは‘源順’を含めて16点、残りもいつかこの目でという気持ちは強いがコンプリートは無理。あと数点が死ぬまでにみれれば御の字というところ。だから、‘藤原高光’はじっくりみた。これが逸翁美にあるものか、という感じ。

‘秋草鶉図屏風’(5/13まで)と‘春秋花鳥屏風’(5/22~6/16)は長いこと対面を待っていた作品。じつは1993年東博で‘やまと絵展’という立派な展覧会があり、今回この‘もののあはれ展’にも出品されている国宝‘寝覚物語絵巻’(5/1~5/13 大和文華館)など名品が沢山展示された。そのなかにこの2点も入っていた。

ところが、この2点展示替えかなにかでしかとみたという実感がなく、それ以来遭遇するのをずっと待っていた。その‘秋草鶉図’の前にようやく立つことができた。自然に画面の隅から隅まで目が動いてしまうのが細い線で繊細に描写された草の濃い緑。そして、右の草と草の間に鶉の親子がみえる。ふと若冲の鶏の親子を思い出した。

狩野永納(1631~1697年)の‘春夏花鳥図屏風’は何回かお目にかかっているが、先月永納の父、山雪の作品をたっぷり堪能したので敏感に反応する。いつか永納と永岳を軸にした京狩野派展に出会えたら嬉しいのだが、、

テーマ型の展覧会では思わぬ作品が現れる。鈴木其一(1796~1858)の絵も‘もののあはれ’の心を表現したもの、そして広重の風景画、最後は鏑木清方まで登場した。

作品の選択にケチをつけようがない。流石サントリーはブランド美術館、すばらしい内容。学芸員の美意識のセンスにはいつも感服している。でも、展示期間には不満が残る。こんなに数多くの展示替えがあったら、うんざりする。

4年前、‘日本美術展覧会の展示期間はもっとスッキリできないのか’(拙ブログ09/8/6)という記事を書いた。サントリーのこの展示替えはこのときの三井記念美とまったく一緒。京博でも‘大神社展’の東博でも全期間展示とか前期後期で総入れ替えの方法をとることが多くなり、お客が何度も足を運ばなくても日本美術を楽しめるように工夫している。だが、サントリーは何年経っても昔のスタイルのまま。

ずっとサントリーの展覧会に通いつめているが、好感度がだんだん低下している。はっきりいって、こんな美術ファンの気持ちがわからない美術館より千葉市美や府中市美の企画展のほうがずっと楽しい。今美術愛好家の関心は確実に東京都美、西洋美、国立新美、三菱一号館美、Bunkamuraのビッグ5が開催する西洋美術のほうに向かっている。西洋絵画は一回足を運べば全点みれるのがとにかくいい。

こういうときサントリーのようにお客に沢山のお金を払わせる日本美術の展覧会をやっているようでは、ますます客は離れていく。ブランド美術館だって改革をしないでやっていると普通の美術館になることがわからないのだろうか。


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