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Channel: いづつやの文化記号
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日本・中国の故事、歴史から生まれた傑作アート! 卑弥呼

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  安田靫彦の‘卑弥呼’(1968年 滋賀県近美)

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  堂本印象の‘木華開耶媛’(1929年 京都府堂本印象美)

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  安田靫彦の‘木花之佐久夜毘売’(1953年)

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  安田靫彦の‘飛鳥の春の額田王’(1964年 滋賀県近美)

昨年の3月、NHKスペシャルで放送された‘古代史ミステリー 謎の女王
卑弥呼とヤマト王権’を興味深くみた。最新の考古学研究によると、邪馬台
国があった場所は近畿説でかたまりつつあるらしい。3世紀に生きた卑弥呼
は巫女として神の意志を聞きその権威を背景に政治を司ったと言われている。
番組では美形のモデルが卑弥呼を演じていたが、安田靫彦(1884~
1978)が描いた‘卑弥呼’を思い浮かべながらみていた。

明治以降に活躍した日本画家で卑弥呼をモチーフにして描いた画家は今のと
ころ安田靫彦しか知らない。2点あり、この絵の4年後に‘大和のヒミコ女王’
のタイトルでも制作された(個人の所蔵)。滋賀県近美蔵はまだ1回しか縁
がないが、堂々たる卑弥呼様、という感じ。切れ長の目が謎の女王のイメー
ジをつくっており、その権威を象徴する杖を持ち華麗な装身具を身につけ
た威厳ある姿は強く目に焼きつく。背景の山は霊山阿蘇なので、邪馬台国は
九州にあったという仮説にもとづいている。

日本神話に登場する女神、‘木華開耶媛’(このはなのさくやひめ)は京都出身
の堂本印象(1871~1975)と靫彦の描いたものに運よくお目にかか
った。女神の名前はひらがなですぐ覚えられなかったが、以前大阪で‘花博’が
開かれたとき、この名前をつけたパビリオンに入館した記憶があり、それで
なんとかすっと言えるようになった。堂本の絵はあのボッティチェリの‘春’を
彷彿とさせる。これと対照的な乙女チックな印象を受けるのが靫彦の女神。

‘卑弥呼’同様、滋賀県近美のお宝中のお宝が靫彦の‘飛鳥の春の額田王’。
額田王(ぬかたのおおきみ)は才色兼備の万葉歌人。目にとびこんでくるの
がひときわ鮮やかな赤い衣装。日本画の色彩の美しさが200%感じられ
る傑作である。いつか再会したい。


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