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昨日、NHKBSのプレミアムシネマに‘赤い河’、‘天国と地獄’、‘羊たちの沈黙’が
登場することをご案内し、最後に以前放送された’60歳のラブレター’に大変
惹かれたことを書いた。そのDVDがなんと久しぶりに足を運んだホームグラ
ンドのブックオフA店の棚に並んでいた!DVDが手に入るのは無理だろうと
思っていたから、これには驚いた。‘セレンディピティ’(思わぬ幸運に偶然出
会う能力)が自分にはあるのかなと思ってしまった。
日本映画のDVDコレクションは‘日本映画ベスト〇〇’といったくくりで選ばれ
るお墨付きの名作を数多く揃えたが、その多くは黒澤明や小津安二郎、伊丹十
三などのビッグネーム監督の作品。よく‘名画はみるたびに発見がある’といわ
れるが、これは映画にも当てはまるから、大ヒットしたものや海外の映画祭で
大きな賞をとったものはまず手に入れておきたい。
でも、名作はこれだけではない。‘60歳のラブレター’(2009年)をみて
つくづく思ったのは、良くできた脚本のもとにうまい演技をする俳優がキャス
ティングされれば、監督の名前は知られてなくとも心を打つ良質の映画ができ
あがること。この映画はそんなことを気づかせてくれた。ネタバレになるので
詳しくふれないが、3組の男女の話が並行的に進行していく。中村雅俊&原田
美枝子(専務まで出世したやり手サラリーマンと従順な妻だが、二人は離婚し
ている)、イッセー尾形&綾戸智恵(糖尿病を患う魚屋の主人と妻)、井上順
&戸田恵子(出世から外れた医師と医学情報をアドバイスしてもらう翻訳家)。
タイトルの‘60歳のラブレター’の意味とは。中村と原田が新婚旅行で香川へ行ったとき地元の写真館で記念写真を撮ったのだが、この主人がおもしろい人で60歳になったことを想定してお互いに手紙を書くことを薦め、これに原田が応じる。冒頭に首都高を走行する若い男性が登場するが、この人物が何者なのかは映画の後半になるまでわからない。じつはこの男性が件の写真館の主人の孫で、中村(夫の住所を書いたから)に原田が書いた手紙を届けにわざわざ香川から東京にやって来たのである。
その手紙が原田に届けられるのだが、そこには老人になった二人のことが綴られており、若い頃絵を描いていた中村に富良野のラヴェンナの花を描いてもらいたいとの願いが添えられていた。今二人は離婚していて、中村は離婚の原因である若い愛人との関係も冷め、大手建築会社を退職して再就職した愛人が経営する設計会社でも居場所がなくなってきた。で、辞表をだし、新たに一歩を踏み出すため、新婚旅行のとき書かなかった原田宛の60歳の手紙を書き、要望されていたラヴェンナの花の絵を描くことに決める。そして、求婚する著名作家の誘いで一緒に原田がやって來る富良野に先回りして、原田に手紙を渡し、描いた花の絵を野原に掲げる。作家の運転するクルマから降りて中村のところに戻って来た原田のせりふが笑わせる。‘あんまりうまく描けてないから、がっかりしたワ’、これに中村は‘若い頃はうまかったんだ’とこたえる。
ブックオフでもう一本嬉しい作品をゲットした。10作目となる喜劇映画‘駅前シリーズ’(全24作)の‘駅前弁天’(1966年)。日本映画は海外のものにくらべて相対的に価格が高く、これは2700円もした。ちなみに‘60歳のラブレター’は720円で手に入った。