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Channel: いづつやの文化記号
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勝川春章の描く遊女!

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Img_0001_20250310223501   ‘青楼美人合姿鏡 夏の巻’(1776年 太田記念美)

Img_0002_20250310223501   ‘青楼美人合姿鏡 冬の巻’(1776年 太田記念美)

Img_20250310223501   北尾重政の‘青楼美人合姿鏡 春の巻’(1776年 東博)

Img_0003_20250310223501   ‘青楼古今発句合 闇の夜も’(1781~83年頃 慶應義塾)

Img_0004_20250310223501   ‘吉原八景 京町の落雁’(18世紀 マノスコレクション)

絶品の肉筆美人画に魅了され続けている浮世絵師、勝川春章(1743
~1892)がなんと大河ドラマ‘べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~’の第10話に
登場した。蔦重の企画した吉原遊女の絵本を北尾重政(1739~1820)
との合筆でつくるのである。これは豪華な絵本で座敷や庭先で四季折々の
風物に親しむ遊女たちがリラックスモードで描かれている。

‘春夏’の上巻、‘秋冬‘の中巻、それに漏れた遊女たちと遊女たち自身の俳諧を
集めた‘員外’の下巻の全三巻で構成されている。鈴木春信(1725~
1770)の影響を受けた二人の美人画はよく似ているが、春と秋を重政、
夏と冬と員外を春章が担当している。盲人の鳥山検校に1400両(1億
4000万円)で身請けされ、吉原遊郭をでていく花魁瀬川は重政の‘春’の巻
で右に描かれている‘瀬か八(瀬川)’。

春章が描いた‘夏’の巻では遊女たちは文をしたためたり、琴、三味線、尺八の
トリオ演奏に興じている。この場面だけをみれば源氏物語絵巻をみているの
と変わりなく、高級な趣味のサロンの雰囲気が漂っている。そして、‘冬’の巻
は着物を着こんだ3人が冬の寒さを実感して感じ。

‘青楼古今発句合 闇の夜も’で春章は禿を従え龍の絵柄で装飾された豪華な衣
裳に身をつつんだ花魁が優雅に歩く姿を描いている。思わずみつめてしまう。
ギリシャのマノスコレクションを披露する特別展が以前開催され、その摺り
のいい歌麿の美人大首絵に仰天したことがあるが、そこに春章の‘吉原八景
 京町の落雁’も飾られていた。吉原の景色と廓の風俗を取り合わせた趣向が
おもしろい。


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