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Channel: いづつやの文化記号
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聖書から生まれた傑作アート! 巫女 聖人プラスα

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Img_20250224230301   ミケランジェロの‘デルフォイの巫女’(1509年 システィーナ礼拝堂)

Img_0002_20250224230301   ミケランジェロの‘リビアの巫女’(1509年 システィーナ礼拝堂)

Img_0001_20250224230301   エル・グレコの‘聖ペテロの涙’(17世紀 タベーラ病院)

Img_0003_20250224230301   ジョットの‘小鳥への説教’(1296~99年 サン・フランチェスカ聖堂)

Img_0004_20250224230301   ボッティチェリの‘聖アウグスティヌス’(1480年 オンニ・サンティ聖堂)

図録の整理を定期的におこなっていると、図録や美術本に載っている図版が
ダブってくるものがでてくる。それをすぐゴミ箱にいれるのはもったいない
のでMy好きな美術品図録にぺたぺた貼り、すぐ手の届くところに置いている。その多くを占めるのがお気に入りの女性画。ミケランジェロ(1475~1564)がヴァチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂の天井画に描いた巫女(預言の力を授けられた女性)も上位の列に並んでいる。

5人いる異教の超能力者のなかで人気No.1は‘デルフォイの巫女’で‘リビア
の巫女’もほぼ同率1位。いずれも腕をみると筋肉質で男性のようだが、それは
デルフォイのアイドル的な可愛さ、リビアの回転運動を感じさせる体の表現
によって全然気にならない。だから、首が痛くなるまで上を見続てしまう。

エル・グレコ(1541~1614)の宗教画には宗教画特有の重さがなく、
われわれがもっている感情がそのまま表現されていて大きな感動をおぼえる
作品がある。その筆頭が‘聖ペテロの涙’。聖ペテロがキリストを拒んだのちに
後悔の涙を流している。はじめてこの絵をみたとき、ええー?目にあふれる
涙まで描くの!だった。真に悲しそう。こんなに感情移入する絵はほかにない。

2006年、イタリアを旅行し、念願のアッシジでジョット(1267~1337)の‘聖フランチェスコ伝’をたっぷりみた。絵の前に長くいたのが‘小鳥への説教’。自然を愛し生きとし生けるものすべてに神の恵みの与えられることを祈る聖人にしてみれば、鳥たちにもすぐ理解してもらえると思い、優しく説教をする。鳥たちはおとなしく耳をかたむけ、話が終わって祝福が与えられるので一羽として飛び去らなかったという。いい話である。

フィレンツェのオンニ・サンティ聖堂に出かけるとボッティチェリ(1445~1510)の堂々たる肖像画‘聖アウグスティヌス’に出会える。2016年に日本でも披露された。この聖人は教会の大博士だから、その姿は謹厳そのもの。ボッテイチェリはあの‘ヴィーナスの誕生’でやわらかく優雅なイメージができているので、厳しい目をした聖人の前ではちょっと緊張する。

これで‘聖書から生まれた傑作アート!’は終わりです。宗教画への感じ方が変わったでしょうか。


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