わが家の映画DVDコレクションは現在354本。そのうち日本映画は76
本で全体の22%を占めている。最近ここに加わった名作が黒澤明監督の
‘用心棒’(1961年 モノクロ)。購入のきっかけはYou Tubeで観た映
画のハイライトシーン。三船敏郎が用心棒を演じたこの映画のことは知っ
ていたが、映画はまだみてなかった。
映画がはじまって、だんだん思い出したのがクリント・イーストウッド
主演(?)のマカノニ・ウエスタン‘荒野の用心棒’(1964年)。リメイ
クされた本家本元の映画がこれだったのか!と、わけもなく興奮した。こん
なおもしろい時代劇を見過ごしていたのだから、本当に間が抜けている。
ラストの20分の用心棒三十郎と宿場で勢力争いを制したヤクザとの対決シ
ーンが圧巻。これほどスピード感があって荒々しい殺陣シーンはほかにみた
ことがない。三船敏郎の俊敏な立ち回り、殺陣の迫力は本当にスゴイ。
ヤクザ側の中心人物は短銃をかまえた知恵袋の用心棒卯之助(親分の弟、
仲代達也)。三十郎はこの決闘の前、ヤクザたちに半殺しにあい傷ついてい
た。そこを脱出して居酒屋の爺さんの世話で墓場の小屋で体力の回復をはか
る。その間、爺さんが護身用にもたせてくれた包丁をなんども投げて飛び
道具としての精度をあげていた。その努力が実を結び、ヤクザたちに突進し
て、まず卯之助に包丁を投げつけ銃を使えなくし、ヤクザたちを次々と斬り
倒していく。
この映画で懐かしい相撲取りがでてきた。横にずらっと並んだヤクザたちのなかで背の高い馬面の男。元大関の大内山(知っている人は知っている)。黒澤監督の映画に出演していたとは。役者の演技で感心したのはヤクザの親分の弟、亥之吉(大内山の前)役の加東大介。ちょっと頭は弱いが暴れると手が付けられない男を上手く演じていた。対立する2つのヤクザのどっちの用心棒になるか決めかねていた三十郎のところに好条件をもってやって来た亥之吉に、三十郎はニヤニヤ笑いながら‘おめえ、強いんだってな!’とおちょくる。このシーンは笑える。最高の娯楽映画を黒澤監督は時代劇でつくってみせた。すごい監督である。