Quantcast
Channel: いづつやの文化記号
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4062

ミューズにとどけ追っかけ絵画! 喜多川歌麿

$
0
0

Img_0002_20240908225201    ‘品川の月’(1788年頃 フリーア美)

Img_0004_20240908225201    ‘婦人相学十躰 指を折る女’(1792~93年頃)

Img_0001_20240908225201    ‘夏衣裳当世美人・越後家’(1804~06年頃 ボストン美)

Img_20240908225201    ‘おきた、おひさの首引き’(1793~95年頃 神奈川県歴博)

Img_0005_20240908225201    

‘風流子宝合’(18世紀 MOA美)

浮世絵師のなかでMy図録の数が葛飾北斎(1760~1859)とともに
多いのが美人画の喜多川歌麿(1753~1806)。浮世絵展で購入し
た図録を再編集しほかの絵師の図版を犠牲にし歌麿の作品をぺたぺた貼り進
めた結果、ベスト歌麿本が5冊できあがった。でも、これまで回顧展に遭遇
してないので、表紙のタイトルは歌麿ではなかったり鳥居清長とのペアであ
ったりする。

歌麿の美人画は追っかけの気持ちをずっと持ち続けていくつもりなので、気
になる作品はときどきながめている。そのど真ん中にいるのが肉筆画の‘品川
の月’。この絵を所蔵しているのはワシントンのフリーア美。遺言によりで門
外不出となっているので、日本でいくら待ってもやって来ない。だから、
2015年に展示された宗達の‘松島図’のように何か特別展があるとき現地に
出向かなければ鑑賞は叶わない。2017年に箱根の岡田美で歌麿‘雪月花’展
が開催され、アメリカから‘吉原の花’が里帰りし、岡田美蔵の‘深川の雪’と
一緒に飾られた。‘品川の月’は原寸大の精密な複製で三部作のピースを構成し
たが、やはり本物をみてみたい。

浮世絵は摺りの状態はよくないものでも、本物と対面することは嬉しいことだから満足度は確保される。これに対し、歌麿の美人画でやっかいなのは日本の展覧会でお目にかからない絵がいくつもあること。たとえば、神田の古本屋でみつけた歌麿本に掲載されている‘婦人相学十躰 指を折る女’は長年待っているがまったくダメ。日本にはないのだろうか。ボストン美にある最高の摺りの状態がキープされている‘夏衣裳当世美人・越後家’はまだ縁がない。この絵は専門家しかお目にかかれないから、現代の先端技術によるデジタル映像でみるということになる。

日本の美術館にある作品でいつかこの目でと願っているのは神奈川県歴博蔵の‘おきた、おひさの首引き’と、以前MOAへよく出かけていた頃、姿をみせてくれなかった‘風流子宝合’。MOAは浮世絵のいいのをたくさん所蔵しているが、歌麿も魅了される美人画がいくつもある。よく美術本に載るのは肉筆の‘入浴図’、この絵では針箱にもたれて寝込んでいるお母さんのそばで幼な子が水盤をひっくり返している。よく目にする光景だからすごく惹かれる。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4062

Trending Articles