今尾景年の‘松間朧月’(1912年)
松林柱月の‘山居’(1936年)
橋本雅邦の‘瀟湘八景’(明治19世紀)
今年から東博の特別展をみたあとは必ず本館に寄って、平常展示されている
近代日本画(1階)と浮世絵(2階)をスマホで写真撮影することにしてい
る。今でている日本画はすべて9/16までの展示。以前からここに飾られ
ているのは手元のMy図録にあった?と思うものがよくある。それほど東博
のコレクションは奥が深く質量ともに一級品であることを物語っている。
久しぶりにみた速水御舟(1894~1935)の‘紙すき場 近村’は黄色や
緑など明るい色彩が今村紫紅の画風を彷彿とさせる。縦長に描かれた人物入
りの風景画なのに違和感がなくじっくりみれるのがこの絵の魅力。この絵を
除くと色彩の力が消える作品がずらっと並ぶ。長くみていたのは今尾景年
(1845~1924)の‘松間朧月’。これまでここでお目にかかったという
実感がない。今年練馬区美で開催された池上秀畝展のようにこの画家の回顧
展に遭遇するのを心待ちにしている。
横山大観(1868~1958)の‘洞庭の夜’も前みたのはいつだったか忘れている。5冊あるMy大観図録に載っているはずと記憶しているので写真は撮らなかったが、家に帰って頁をめくったがすぐには見つからなかった。予想以上に小さい月はちょうどいい具合に配置されており、その光がじわーと伝わってくる。
今回の収穫は松林桂月(1876~1963)の‘山居’。これも‘松間朧月’同様、思わず足がとまる傑作屏風絵。この画家の水墨画はなかなか見る機会がないので、感激する。これに対し、橋本雅邦(1835~1908)のお馴染みの画題‘瀟湘八景’は過去にみたような記憶がかすかに残っている。すがすがしい感覚でみれる瀟湘八景なのではじめから心を鎮めてみた。上は最初の‘山市晴嵐’で下は‘洞庭秋月’。