最近、ほかの軽作業にとられていた時間が少なくなったため映画を楽しみこ
とが多くなり、未観賞DVDのストックを手にとるペースが上がってきた。
久しぶりにみた‘風と共に去りぬ’(1939年)とフランス映画の‘禁じられ
た遊び’で心を打つシーンがでてきたので、そのことを少しばかり。どちらも
映画の主題歌♪♪‘タラのテーマ’、♪♪‘愛のロマンス’は耳にこびりついておりメロデイを口ずさめるのに、どんなストーリーだったかは情けないほど忘れている。前回一体どこをみていたの?という感じ。
‘風と共に去りぬ’はスカーレット・オハラ(ヴィヴィアン・リー)とレット・バトラー(クラーク・ゲーブル)の愛情物語ばかりがインプットされていたが、今回南北戦争で敗北した南軍の悲哀が強く印象づけられた。スピルバーグ監督の‘リンカーン’をみたとき、南北戦争のことをしっかり頭に入れようと岩波新書の‘アメリア合衆国史② 南北戦争の時代’(貴堂嘉之著 2019年)を購入した。その本をまた読んでみると2章の南北戦争の最後の頁に‘風と共に去りぬ’のことが書かれている。映画のなかに北軍が進軍してきたアトランタで多くの死傷者が臨時病院の前の広場に横たわっている場面がでてくる。その中をスカーレットが産気づいたメラニーを医者に診てもらおうと病棟のほうにむかって進んでいく。この俯瞰を拡大していくショットに一番ジーンときた。本に記述してあった南北戦争の悲惨さがあの有名な映画によって切なくリアルに表現されていた。
フランス映画の名作‘禁じられた遊び’(1952年)はあるときから、何が禁じられた遊びだっけ?になった。ナルシソ・イエペソのギター演奏をうっとり聴いているだけでなく可愛い少女と男の子は一体何をしていたのか、これを解決するためDVDを300円で手に入れた。ところが、冒頭の場面で大きなショックを受け映画の肝の部分が別にそれてしまった。1940年6月、ドイツ軍の手に落ちたパリから南に逃れる人々の群れにもナチスの爆撃機は容赦なく襲いかかって来た。5歳の少女ポーレットの両親と愛犬はあっさり殺されてしまった。南軍の兵士の死、パリから逃れる民衆の殺戮、ショッキングで悲しいことだが、同じことが今ウクライナとロシア、イスラエルとハマスの間で行われている激しい戦闘により起きている。だから、2つの映画はちっとも古くなく、しっかり向きあえいろいろ考えさせられる。名作映画の価値を見せつけられた思いである。