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Channel: いづつやの文化記号
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ミューズにとどけ追っかけ絵画! ウッチェロ ディ・コジモ

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Img_20240701232501   ウッチェロの‘狩猟’(1465~70年 アシュモーリアン美)

Img_0003_20240701232501    ‘聖餅の奇跡’(1465~68年 マルケ国立美)

Img_0002_20240701232501    ‘竜と闘う聖ゲオルギウス’(1455~60年 ナショナルギャラリー)

Img_0001_20240701232501   ピエロ・ディ・コジモの‘森の火事’(1490年代 アシュモーリアン美)

Img_0004_20240701232501    ‘シモネッタ・ヴェスプッチ’(1477年頃 コンデ美)

ロンドンに短期間滞在したときオックスフォードを観光し、歴史のある壮麗なカレッジの建物や学園都市らしい落ち着いた雰囲気を楽しんだ。当時は美術鑑賞に嵌っていなかったので、ここにオックスフォード大学の付属機関としてアシュモーリアン美があることは知らなかった。西洋絵画に熱心になり美術本にちょくちょくこの美術館の名前がでてくる。そうすると、またオックスフォードへ行くたくなる。

アシュモーリアンにある作品で最初に覚えたのが初期ルネサンスの画家、ウッチェロ(1397~1475)の‘狩猟’。左右の細身の犬が中央に向かって突進する姿が印象的で狩りの醍醐味が感じられる。そして、おもしろいのは倒れた木々をよくみると中央奥の一点に向かって枕をならべており、じつに綺麗な遠近法になっていることに気づく。

ウッチェロの作品はナショナルギャラリーでみた‘サン・ロマーノの戦い’が目に焼き付いているが、本物をみたのはほんの数点。人物や馬の描き方が木彫的な感じがするのは‘竜と闘う聖ゲオルギウス’でも同じだが、遠近法をベースにしているためモチーフは角々するところはあるがこれがすごく立体的にみえるのがおもしろい。そして、ウルビーノのマルケ国立美にある‘聖餅の奇跡’も大変惹かれる。

アシュモーリアンで気になる絵がもうひとつある。それはピエロ・ディ・コジモ(1462~1522)の‘森の火事’。この画家もこれまで縁があった絵は少ない。記憶に新しいところでは2年前、国立新美で開催された‘メトロポリタン美展に’に出品された‘狩りの場面’。これはじっくりみるとかなり怖い絵でその暴力性に満ちた表現にたじたじとなる。そのため、多くの生き物が登場する‘森の火事’も人間の顔をした羊のような‘奇’の描写に視線が寄っていく。フランスのシャンティイーのコンデ美が所蔵する‘シモネッタ・ヴェスプッチ’はゾクゾクっとする怪奇さに体が思わずフリーズさせられる。


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