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Channel: いづつやの文化記号
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日本の神話画 日本武尊!

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Img_0002_20240320222501    青木繁の‘日本武尊’(1906年 東博)

Img_20240320222501    安田靫彦の‘草薙の剣’(1973年 川崎市市民ミュージアム)

Img_0001_20240320222501     ‘吾妻はや’(部分 1971年 天童市美)

現在大阪で開催中の大相撲春場所は今日が11日目。2ヶ月ごとに行われる
大相撲はわが家の一番の楽しみになっている。いつも5時から幕内の後半戦
をみるのがルーチンで開催中の2週間は飲み会や美術館巡りは特別のことが
ない限り予定に入れない。結び前の取り組みで新入幕の尊富士(たけるふじ、
前頭17枚目 伊勢ケ浜部屋)がなんと新大関の琴ノ若を破り連勝を11に
のばし、あの大横綱大鵬が64年前につくった新入幕の連勝記録に並んだ。
残り4日、尊富士の白星は続きそうで優勝の確率が相当高くなった。頑張れ!

2,3場所くらい前からしこ名に日本武尊(やまとたける)の‘尊’をつけた
関取が気になりだし、成績はずっとチェックしていた。先場所十両優勝し、
1場所で幕内に昇進してきた。おもしろいことにこの大活躍が今月出かけた
神話の故郷、宮崎とシンクロし、古事記の話にでてくるヤマトタケル伝説の
リマインダーになってくれた。ヤマトタケルがどうして悲劇の人になったか
はつい先日ブックオフで手に入れた‘日本神話入門 古事記を読む’(坂下圭八
著 岩波ジュニア新書 2003年)、‘古事記神話の謎を解く かくされた
裏面’(西條勉著 中公新書 2011年)、および以前から手元にあった
阿刀田高の‘楽しい古事記’ を読み込むうちにだんだん記憶がもどってきた。

こうなると情報がいろんなところに動き回り、青木繁(1882~1911)
や安田靫彦(1884~1978)が描いた日本の神話を題材にした絵も浮
き上がらせる。東博にある青木繁の‘日本武尊’で驚かされるのはヤマトタケル
がすごくイケメンでかっこいいこと。顔は青木自身の顔を描いたというが、
青木繁はこんなにいい男だった?というのが正直な感想。

安田靫彦は‘草薙の剣’で相模の国造の計略にはまり周りの野原に火をかけられ
た場面を絵にしている。この火攻めに対してとった策を成功させたのが手に
持っている‘草薙の剣’。周囲の草を伊勢神宮の叔母さんから預かった草薙の剣
でなぎ払い、これも叔母さんからもらった火打ち石でこちらも草に火をつける。
身の回りから燃えるものをなくし、この火の勢いで寄せてくる火を追いやる
作戦。これで国造の一党をみな焼き殺した。

ヤマトタケルの足元に跪ているのが妻のオトタチバナヒメ(弟橘比売命)。‘吾妻はや’は‘ああ、わが妻よ’という意味でこの絵はヤマトタケルが妻を偲んで悲しむところが描かれている。ヤマトタケルは父親の景行天皇から嫌われ、東国の征伐を命じられる。三浦半島から房総半島へむかうつもりだったが、海の神の怒りをかって海が大荒れになって船を進めることができない。そこでオトタチバナヒメが夫の武勲を願って海に入って人身御供となる。すると波はしずまったので、ヤマトタケルは房総半島に渡りはびこる賊たちを平定した。そうして足柄付近まで戻って来て一休み。そこからは相模湾がみえヤマトタケルは‘吾妻はや’と絶叫する。これによりこの地方を‘東(あずま)’と呼ぶようになった。


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