‘ブランシャール家の子どもたち’(1937年 パリ国立ピカソ美)
NHKの日曜美術館は今は関心のある画家が登場するときだけ楽しんでいる
が、以前は毎週欠かさずみてビデオ収録していた。2001年11月に取
り上げられたのがこの年に92歳で亡くなったバルテュス(1908年
パリに生まれる)。番組がスポットをあてていたのは同年ヴェネツィアで
開催された大回顧展。バルテュスの絵の多くはコレクターが秘蔵している
ため、生前バルテュスが直接申し入れたこともあって230点が出品され
た。当時、バルテュスが気になりだした頃だったので、みたくてしょうがなかった。
そこに出品されていたのが縦2.9m、横3.3mの大作‘コメルス・サン
タドレス小路’。美術本でこの絵の存在を知っていたが、大回顧展だから
出品されたという事情を知るとお目にかかれる可能性はまずないが、追っか
け画として頭の片隅にはずっと残しておきたい。同じく個人蔵で同じ時期
に描かれた‘部屋’も強く鑑賞欲を刺激する。カーテンを開ける女性(子ども?大人?)の異様に厳しい目つきが脳裏から離れない。こういう絵はドキッとする。
アメリカの美術館でバルテュスと縁が多くあったのはメトロポリタン。
これまで‘山(夏)’、‘夢見るテレーズ’、‘目を覚ましたテレーズ’、‘窓辺の
少女’と運よく4点みれた。MoMAでは美術館の図録に載っている有名な
‘街路’と日本にやって来た‘居間’はお目にかかったが、ちょっと怖い顔をし
た‘アンドレ・ドランの肖像’とは相性がよくない。
2008年に訪問したシカゴ美で期待していた‘トランプ占い’も姿をみせてくれなかった。ミュージアムショップで手に入れた値の張るハードカバーの図録に掲載されていたので残念でならなかった。バルテュスを高く評価していたピカソが買い上げた‘ブランシャール家の子どもたち’は、パリ旅行が実現しまたピカソ美で足を運ぶことがあったら対面できるかもしれない。