今年開催される日本画関連の特別展で大きな期待を寄せていた‘池大雅展’をみ
るため、出光美へ足を運んだ。文人画を大成した池大雅(1723~
1776)の回顧展に遭遇するのはこれが3度目。出光にはこれまで数えき
れないほどでかけたので、ここが大雅の絵をいっぱいもっていることはイン
プットされている。だから、生誕300年を記念して主要作品をずらっと並
べるのは即納得だが、果たしてどのくらい集めてくるのか。
今回は展示替えを見逃さなければ全部で40点がみられる。130点が出品
された京博で行われた大回顧展(2018年)には数では叶わないが、国宝
や重文に指定されている主要作品がたくさん揃っているので、大雅を存分に
楽しめる。2011年、ニューオータニ美であった回顧展では重量級が13
点だったから、東京でこれほど多くの大雅がみれるのはひとつの‘事件’といっ
ていい。流石、出光である。
国宝は東博でお馴染みの‘楼閣山水図屏風’(2/10~25)と‘十便十宜図’
(大雅が十便図で蕪村が十宜図、会期中に展示替え)。これは嬉しい展示、
大好きな‘十便図’はなかなかみれないから、また出かけるかもしれない。チラ
シをみて京博のとき出品されてない作品が気になっていた。それはなんと90
年ぶりに展示されるという‘餘杭幽勝図屏風’(通期展示)。時間をかけて堪能した。みてのお楽しみ!
‘浅間山真景図’は俯瞰の視点で描かれた風景は中国の黄山の幽玄的な雲の情景を彷彿とさせる。何度みても惹かれる。大雅に魅了されているのは人懐っこい丸顔で描かれた老人や子供が登場するから。‘十便図’同様、心底好きな‘柳下童子図屏風’では橋の中央で二人の男の子が楽しそうに遊んでいる。本当に可愛い!出光蔵の‘寿老四季山水図’でも頭が異様に大きな寿老人につい口もとが緩む。