コローの‘ヴィル=ダヴレーの牧歌的な場所’(1865~70年)
東京都美で開催中の‘ウスター美蔵 印象派 モネからアメリカへ’(1/27
~4/7)をまたみてきた。お目当ては今度もモネ(1840~1926)
の‘睡蓮’。太鼓橋と睡蓮が描かれたものやオランジュリー美術館にある大作
の睡蓮シリーズを横において、正方形のキャンバスに同じような構図で描か
れた睡蓮の絵でこれまで心を大きくゆすぶられたのは2点あった。国内の
美術館が所蔵するものではアサヒビール大山崎山荘美にある‘睡蓮’
(1914~17年)、そして、海外ではマルモッタン美でお目にかかった
黄色で彩られた‘睡蓮の池’(1917~19年)。今回、アメリカからやっ
て来たウスター美蔵の‘睡蓮’はそれ以上に魅了されている。嬉しくてたまら
ない!
この美しい睡蓮の絵にばかり関心が向きがちだけれども、ほかにも思わず足
がとまる作品が多く出品されている。前回選んだアメリカの画家に加えお馴
染みのフランスの画家もずらっと並び‘印象派‘モードを盛りあげている。
色彩の強さに思わずのけぞりそうになるのがシニャック(1863~
1935)の点描法で描かれた‘ゴルフ・ジュアン’。似たようなシニャックは
いろいろ遭遇したが、これが一番光を感じる。
印象派の兄貴格的な存在であるピサロ(1830~1903)の‘ルーアンの
ラクロワ島’は構図はすごくいいのでつい長くみてしまう。アメリカの美術館
でみたピサロではメトロポリタン蔵の‘ポントワーズのジャレの丘’に次いで惹
かれた。コロー(1796~1875)はアメリカのブランド美術館をまわ
るといい絵にでくわす。メトロポリタン、フリック・コレクション、ワシン
トン国立美、ボストン。そして、日本で公開されたクラークコレクションに
いい絵があった。ウスター美もその例に漏れず‘ヴィル=ダヴレーの牧歌的な
場所ー湖畔の釣り人’を披露してくれた。
クールベ(1819~1877)の‘女と猫’で視線が釘付けになったのは猫の
毛の白さ、これほど白が輝いている猫はお目にかかったことがない。オルセ
ーに横向きに座った裸婦が白の毛の犬としゃべっている絵があるが、クール
ベはこれを意識して白のインパクトを目いっぱい強めたのかもしれない。