Quantcast
Channel: いづつやの文化記号
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4043

美術で‘最高の瞬間’! ハンス・コパー

$
0
0

Img_20231004224301
    ‘ポット’(1954年)

Img_0001_20231004224301
    ‘ポット’(1962年)

Img_0002_20231004224301
    ‘ポット’(1965年)

Img_0003_20231004224301
    ‘スペード・フォーム’(1971年)

Img_0004_20231004224401
    ‘キラクデス・フォーム’(1972年)

2010年は今から振り返るとイギリスの有名な陶芸家に出会ったエポック
的な年だった。4月国立新美で‘ルーシー・リー展’があり、その2ヶ月後に
パナソニック電工 汐留ミュージアムで‘ハンス・コパー展ー20世紀陶器の
革新’に遭遇した。ドイツ人のハンス・コパー(1920~1981)は
1939年19歳のときイギリスに渡り、26歳のとき18歳年上のルーシ
ー・リーの工房で働きはじめる。2人は第二世代の陶芸家として多くのファ
ンの目を惹きつける作品を次々と制作し、世界的に名が知られる陶芸家に
なった。コパーは1958年イギリスに帰化している。

1954年の作品‘ポット’は上下2つの丸い形を合接してつくられている。
この安定感がよく暖か味のある丸さにとても引き込まれる。同様に安心し
て見られる1965年のポットはすっきりした対称形のフォルムに限りな
い愛着を覚える。1962年のポットは一見すると中南米に起こった
古代文明でつくられたやきものとかアフリカにおける部族の宗教行事に使わ
れたシンボルのようなものを連想する。3つのパーツで構成されているが、
上は茶碗で真ん中は円盤、そして下が筒にみえる。

‘スペース・フォーム’は力強いフォルムがだんだん洗練されていく感じ。
上半分が鋭角的な印象の強い農工具とか手提げバッグのイメージで、それ
を柔らかい円筒がしっかり支えている。一度みたら忘れない形である。こ
のタイプはほかに上部が3倍くらい大きな円筒と合体したものもある。

コパーの作品でもっとも魅了されるのが‘キクラデス・フォーム’。
前3000年紀にエーゲ海のキクラデス諸島で栄えた文明の遺品が目の前
に現れたような錯覚にとらわれる。アテネの国立考古学博でみたものが
現代に蘇った感じ。いろんなヴァージョンがあるが、ロケットが宇宙に飛
び出すイメージが湧いてくるこの作品に惹かれている。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4043