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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間‘! 三輪壽雪

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Img_0001_20230919225601     ‘鬼萩割高台茶碗’(1998年 岐阜県現代陶芸美)

Img_0002_20230919225601     ‘鬼萩割高台茶碗’(2008年)

Img_0003_20230919225601     ‘萩掛分茶碗「舞衣」’(1986年)

Img_20230919225601     ‘白萩手桶花入’(1965年 山口県萩美・浦上記念館)

Img_0004_20230919225601     ‘白萩灰被水指’(1984年)

やきもの展に以前ほど多くはめぐりあわないが、これまでやきもの展でいい
思いをした美術館やデパートのHPは定期的にチェックしている。最近、来年
は東博で‘本阿弥光悦展’(1/16~3/10)が行われていることを知った。
光悦の蒔絵とやきものに魅了され続けているから大きな期待を寄せている。
同じように萩焼の三輪壽雪(十一代休雪、1910~2012)の大回顧展
(2006年 東近美工芸館)は忘れられない鑑賞体験だった。

壽雪の作品でもっとも惹かれているのは‘鬼萩割高台茶碗’。この荒々しい鬼萩
をつくったのは75歳のとき。岐阜県現代陶芸美が所蔵する1998年の作品は人間国宝展(2014年 東博)にも出品された。‘休和白’と呼ばれる白釉は柔らかく、厚ぼったい白色に特徴があるが、器の表面を覆うようにたっぷり掛けられている。はじめてみたとき、小さいころ食べた砂糖のかたまりで盛りあがったビスケットを思い出した。2006年につくられたものは高麗茶碗からヒントを得た割高台がさらに高く大胆な造形になっている。

‘萩掛分茶碗「舞衣」’は思わず足がとまる優品。口縁はゆるやかに波打ち、斜めに片身替わり風に施された白と薄茶褐色の白化粧が視線を釘付けにする。ところどころにみられる貫入と茶碗のもつ優美さがほどよくとけあっているのもいい。歌人の吉井勇が‘萩焼の碗(もい)を手にして日の本の土のたふとさしみじみと知る’という歌を三輪家に送っている。

壽雪の破格の造形感覚は‘白萩手桶花入’でもしっかりうかがえる。まるで大地にどんと置かれたような手桶形の花入である。そして、剥離した白い釉が早春の雪解けを連想させる。‘白萩灰被水指’はボリューム感がありたくまさしさを強く感じさせる。灰被り特有の艶消し的な釉調と窯変でできた薄い赤紫に大変魅せられる。


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