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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間‘! 徳田八十吉

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   ‘耀彩壺「恒河」’(2003年 小松市博)

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   ‘燿彩鉢「創生」’(1991年 東近美)

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   ‘耀彩華文鉢’(1991年 東近美)

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   ‘耀彩大皿「石畳」’(2003年 小松市博)

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   ‘深厚耀彩十八稜壺’(2004年 小松市博)

やきものが現代アートの絵画やオブジェをみるような感覚になると心が高揚
する。徳田八十吉(1933~2009、石川県小松市の生まれ)はそんな
気分にさせてくれる陶芸家。運がいいことに2011年、横浜そごう美で
‘追悼 人間国宝 三代徳田八十吉展~煌めく色彩の世界’に巡り合った。目の
前には祖父、父から習得した伝統的な九谷焼の技法をもとにさらに進化させ
たグラデーション表現による独創的な作品の数々がずらっと並んでおり、息
を呑んでみていた。

もっとも惹かれたのは2003年に制作された‘耀彩壺「恒河」’。丸々とした
球状のフォルムはグラデーションにより外側から紺色、緑、黄色へと神秘的
に変化し、中央で白い線に変容する。白が色彩を切り裂くようになっている
のは八十吉がキャンバスを切り裂くイタリアの画家フォンタナの表現に強く
触発されたから。松井康成同様、この球体をじっとながめていると宇宙に輝
く恒星や惑星に想像が膨らんでいく。

東近美が所蔵する‘燿彩鉢「創生」’と‘耀彩華文鉢’は超新星爆発のような星の
大爆発を連想させる。BS2の科学番組‘コズミックフロント’で星の一生やブラ
ックホールがでてくるときはこんな感じのCG画像を何度みたことか。回顧展
の会場ではまだ宇宙の知識がなかったから、色彩のグラデーションに関心が
むかっていたが、今は恒星の創成や消滅とからめてみてしまう。

‘耀彩鉢「石畳」’はまるで抽象絵画をみているよう。青や緑の濃淡がよくでて
おり、正方形が連続する文様は鉢の表面から飛び出してたり奥にへっこんだ
りしている。アメリカのステラが得意とする四角のフォルムをダイナミック
に動かしたイメージ。きりっとした稜の線がとても美しい‘深厚耀彩十八稜壺’
にも魅了され続けている。


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