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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間‘! 濤川惣助

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    ‘七宝富嶽図額’(重文 1893年 東博)

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   ‘七宝花鳥図三十額 尉鶲に牡丹’(1909年 迎賓館赤坂離宮)

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   ‘駒鳥に藤’(1909年 迎賓館赤坂離宮)

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   ‘小鷺’(1909年 迎賓館赤坂離宮)

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    ‘菊紋蛍図瓶’(明治時代 清水三年坂美)

七宝家の濤川惣助(なみかわそうすけ 1847~1910)は京都出身の
並河靖之と苗字は漢字は違うが同じ‘なみかわ’、どちらもすごい技術で一世
を風靡したのがおもしろい。千葉県の農家に生まれた濤川は無線七宝という
技術を開発し、まるで絵画のような七宝を生み出した。焼成前に金属の植線
を抜き取ることにより輪郭線をなくし、日本画の濃淡やぼかしの表現が可能
になった。

最も有名なのが重文に指定されている‘七宝富嶽図額’。東博本館1階の正面
向かって左側の展示室に結構頻繁に飾られている。東近美の‘重要文化財の
秘密’にも出品された。1893年のシカゴ・コロンブス世界博覧会で披露さ
れ高い評価をえた。ぱっとみると水彩画の富士山をみている感じ。額にも入
っているからとても七宝には思えない。

2015年、わが家は大変うれしいことがあった。迎賓館赤坂離宮の見学に
応募したら、なんと大当たり!ウキウキ気分で‘花鳥の間‘に行くと濤川が日本
画家の渡辺省亭が描いた原画をもとに制作した‘七宝花鳥図三十額’がずらっと
飾られていた。迎賓館に濤川の無線七宝の傑作があることは知っていたが、
本物にお目にかかれるとは思ってもいなかった。ミューズに感謝!

見慣れたの花鳥画を楽しむ感覚で1点々夢中でみた。とくに惹かれたのが牡
丹のボリューム感がすごい‘尉鶲に牡丹’(じょうびたきにぼたん)に思わず足
がとまった。藤の紫に視線がむかう‘駒鳥に藤’や‘小鷺’の水辺にたたずむ白鷺
の姿にも心がとても和む。清水三年坂美は濤川をたくさんもっているが‘菊紋
蛍図瓶’がお気に入り。


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