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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間‘! 歌川国貞 菊川英山

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 歌川国貞の‘大当狂言之内 菅丞相’(19世紀 ベルギーロイヤルコレクション)

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 歌川国貞の‘星の霜当世風俗 蚊やき’(1819年 静嘉堂文庫美)

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  歌川国貞の‘二見浦曙の図’(1833年 太田記念美)

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  菊川英山の‘風流夕涼三美人’(1804~18年 マノスコレクション)

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 菊川英山の‘風流美人揃 五色墨 猫を抱く美人’(1814~17年)

JR原宿駅から歩いて5分くらいのところにある太田記念美はこれまで数え
きれないほど出かけた。ここ最近はご無沙汰しているが、以前はHPで展覧
会情報を定点観測し関心の高い絵師は見逃さないようにしていた。それが
実り、名前やどんな浮世絵かはインプットされている北斎や歌麿、広重、
国芳以外の絵師のついても目が段々慣れその腕前に確かな手ごたえを感じ
るようになった。

この浮世絵専門館では嬉しい回顧展にいくつか遭遇した。2014年は
歌川国貞(1786~1864)があり、2017年には菊川英山
(1787~1867)が登場した。ほぼ同じ時代を生きた二人の絵師は
東博の浮世絵通常展示はときどきみるが、回顧展となるとなかなか遭遇し
ない。だから、画業の全体像がつかめず、断片的には気になる絵師とはい
え評価がばしっと定まらないところがある。それがようやく太田記念美の
お陰で解消し、傑作が目の中に入った。

国貞の役者絵で度肝を抜かれたのがベルギーのロイヤルコレクション展が
太田で開催されたときに出会った‘大当狂言之内 菅丞相’。歌舞伎役者の
赤の隈取と黒々とした頭の毛を言葉を失ってみていた。この絵で国貞株が
ぐんと上がった。国貞というと英泉同様退廃的なイメージの強い美人画が
すぐ浮かんでくるが、有名な静嘉堂文庫の国貞コレクションに‘星の霜当世
風俗 蚊やき’というとても惹かれる絵がある。寝間着姿の美人が蚊帳の
なかに入ってきた蚊を紙燭の火で焼いている。小さい頃、蚊帳は夏になる
と欠かせなかったからこういう光景がすごく懐かしい。どういうわけか蚊
がはいってくるのである。

国貞の風景画でもっとも魅せられているのが‘二見浦曙の図’。じつに絵に
なる風景、北斎、広重の風景画が大流行したから、作風を広げるため国貞
も自分流の風景画に挑戦した。一方、菊川英山はポスト歌麿の美人画に
エネルギーを注いだ。英山は歌川派のような凄艶な美人をきらって天明期
の清長のように清楚で上品でおおらかな女性像を追求した。200%KO
されたのが‘風流夕涼三美人’。ギリシャのマノスコレクションが披露された
とき運よく遭遇した。回顧展でみた‘風流美人揃 五色墨 猫を抱く美人’も
うっとりしてみてしまう。


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