吉山明兆の‘五百羅漢図’(重文 南北朝1386年)
上が第1号 下が第48号(根津美)
今年前半に開催される日本美術関連の特別展でとくに関心が高かったのが、
3/7から東博ではじまった‘東福寺展’(5/7まで)。過去に有名な寺院の
名前がついた展覧会を数多くみてきたので展示の構成についてはイメージ
できている。そして、東福寺には2度出かけたことがあり、また‘京都五山
禅の文化‘展(2007年 東博)にも遭遇しているから、東福寺のため
につくした偉いお坊さんの肖像や彫刻は二度目の対面となる国宝の‘無準師
範像’だけは除いて軽くみて、お目当ての絵のところへ進んでいた。
その絵とは吉山明兆(1353~1431)が三十代前半の頃描いた‘五百
羅漢図’。14年かけておこなった修復が完成し全幅(49幅)が初公開さ
れるのだから、一大イベントといっても過言でない。京都五山展ではわず
か5幅しかみれなかったので、期待で胸が膨らむ。会期中に三度足を運ぶ
と全部みれるので‘楽しみ三段重ね’となりそう。最初の展示は3/7~
3/27で東福寺にある第1号~15号と根津美の第48号(展示は3/19
まで)。
展示はただ16幅並べるのでなく、数幅には羅漢たちが何を行っている
場面かが噴き出しをいれた漫画チックなイラストにより理解できるように
なっている。これは気が利いている。拍手々!極彩色がまぶしい青、緑、
赤の衣装を着た羅漢たちがこれほど大勢現れると圧巻である。はじめは
全体のイメージをつかむため説明書きをパスして進み、二度目にどんな
神通力を発揮するのか、龍王や水神のところに飛来する様子などをじっく
りみて目に焼き付けた。物語のおもしろさは期待以上だった。みての
お楽しみ!次の展示が待ち遠しい。
ほかの作品では五山展でも出品された大作‘達磨・蝦蟇鉄拐図’が強い磁力
を放っており、巨大な仏像‘二天王立像 吽形’の圧倒的な迫力やリアルな
人物描写に惹かれる‘迦葉・阿難立像’も息を呑んでみていた。