国宝 ‘阿弥陀聖衆来迎図’(12世紀後半 有志八幡講十八箇院)
過去に出会った特別展でそこに出品された仏教絵画(仏画)で‘最高の瞬間’!
を味わったものをあげてみると、
☆‘日本仏教美術名宝展’(1995年 奈良博)
☆‘女性と仏教’(2003年 奈良博)
☆‘空海と高野山’(2003年 京博)
☆‘美麗 院政期の絵画’(2007年 奈良博)
☆‘空海と密教美術展’(2011年 東博)
☆‘日本国宝展’(2014年 東博)
☆‘国宝展’(2017年 京博)
国宝に指定されている仏画はどうしても大きな美術館で開催される展覧会で
披露されることが多い。こうした機会に運よく遭遇したおかげで美術の本に
載っている傑作の数々はだいたい目の中に入った。ミューズに感謝!
金剛峯寺にある‘仏涅涅槃図’は白河院が院政をはじた年に描かれたもので、
現存最古の絵画による涅槃図として有名。静かに横たわる釈迦の顔の綺麗
なこと!これと一緒にみられた‘釈迦金棺出現図’にも魅了され続けている。
釈迦の母親の摩耶夫人が天上から飛来し悲しんでいると釈迦は渾身の力で棺
から身をおこし母のために最後の説法をする。じーんとくる場面が描かれて
いる。
‘空海と高野山’展で展示替えのためみれなかった‘阿弥陀聖衆来迎図’のリカバ
リーが叶ったのは東博の国宝展。なんと11年もかかってしまった。だから、
絵の前ではじっくりみた。来迎図としては傑作中の傑作である。中央の阿弥
陀如来をはじめ美形の菩薩が多く登場するが、右の琵琶を奏でる菩薩のすば
らしい笑顔が忘れられない(拡大図でどうぞ)。
仏様がたくさんでてくるのは‘刺繍釈迦如来説法図’でも‘両界曼荼羅のうち胎
蔵界’でも同じ。とくに目が点になるのが多数の仏像・尊像が描かれた密教の
両界曼荼羅。緑の地に赤を基調とした色彩のハーモニーが印象深く、神秘的
で重厚なイメージの仏像が整然と配置されている。その顔は丸顔でふっくら
とした体はどこかインド風。密教の奥義をつめこまれた大きな画面をみてい
ると密教の世界に吸い込まれそうになる。