‘平治物語絵巻 三条殿夜討巻’ (鎌倉13世紀後半 ボストン美)
今年は西洋美術関連の特別展は年間切れ目なくどこかの美術館で開催されて
いたのに対し、日本美術のほうは後半に充実した内容の企画展が続々登場し
た。予定していたものはだいたい出かけたが、東博の創立150周年を記念
して行われた‘国宝 東博のすべて’(10~12月)は段取りがいまくいか
ず見逃した。そして、10月に丸の内へ移って来た静嘉堂文庫美で披露され
た自慢のコレクションをまたみるためにでかけたものの、大賑わいで待ち時
間が長かったのでこれも諦めた。
日本美術も西洋美術同様、心に残る作品を10点選んだ。最初の5点とお目
にかかった展覧会は
☆‘鏑木清方展’(3/18~5/8 東近美)
☆‘やっぱり、京都が好き’(4/23~7/3 福田美)
☆‘河井寛次郎の陶芸’(6/18~8/21 中之島香雪美)
☆‘ボストン美展 芸術×力’(7/23~10/2 東京都美)
☆‘ボストン美展 芸術×力’(7/23~10/2 東京都美)
東近美で行われた‘鏑木清方展’はこの先20年くらいは遭遇することはなさそ
うな大回顧展だった。目玉の‘築地明石町’を東近美は数年前所蔵することに
なったから気合十分で、‘清方のいい絵は全部集めてきましたから、どうかご
覧ください!’という感じ。清方の美人画に魅了され続けているので嬉しくて
たまらない。全点みるため2度足運んだ。
6月、京都美術館巡りで訪問した福田美でも上村松園の‘人形遣之図’に出会っ
たのもいい流れだった。大阪でははじめて足を踏み入れた中之島地区でメイ
ンディッシュの‘モディリアー二展’をいただいた後、20分くらい歩いて到着
する香雪美で‘河井寛次郎展’を存分に楽しんだ。これまで寛次郎の回顧展は
何度か体験したが、まだすごい作品が残っていた。個人蔵の‘丸紋壺’。大収穫
だった。
東京都美にまたボストン美が所蔵する日本絵画の傑作絵巻が里帰りした。日本
にあれば国宝まちがいなしの‘平治物語絵巻 三条殿夜討巻’と‘吉備大臣入唐絵
巻’。紅蓮の炎の表現に目を釘付けにさせる平治の乱の場面に対し、吉備大臣の
ほうはユーモラスな戯画チック描写がいろいろでてくる。碁石を飲みこんで
名人にかろうじて勝つも、その後のチェックが厳しい。下剤まで飲まされるが
スーパーパワーでそれを乗り越え難を逃れる。おもしろい話なので夢中になっ
てみてしまう。