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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間’! 現代彫刻

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  ジャコメッティの‘歩く男Ⅰ’(1960年 マーグ財団美)

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  イサム・ノグチの‘エナジー・ヴォイド’(1971年 ノグチ・ミュージアム)

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  イサム・ノグチの‘真夜中の太陽’(1970~88年 横浜美)

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  ムーアの‘横たわる像=アーチ状の足’(1969~70年 彫刻の森美)

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  アルプの‘雲の羊飼い’(1953年 ポンピドーセンター)

立体的な彫刻では作品のサイズが大きくなればなるほど感動の状態はMAX
に達する。これは仏像でも西洋の彫刻でも同じ。それを実感したのが
2017年、国立新美で開催された‘ジャコメッティ展’。ジャコメッティ
(1901~1966)の回顧展に遭遇するのは2度目だったが、南フラン
スにあるマーグ財団美から出品された‘歩く男Ⅰ’に度肝を抜かされた。この
今にも折れてしまいそうな細い男が足を一歩踏み出した姿を表現した彫刻は
ジャコメッティの代名詞みたいなものだから、作品そのものには目は慣れて
いる。でも、前にいる男は細くはあるが1.8mの大男。その強い存在感の
のせいで別の彫刻をみているような感じになる。ジャコメッティがこんな大
きな作品も手掛けていたとは!忘れられない対面になった。

イサム・ノグチ(1904~1988)の彫刻をまとまったかたちでみたの
は東京都現美開催された回顧展(2005年)。名前は知っていたが、どん
な彫刻かはあまりイメージできなかった。どれも現代的な感覚で抽象性の強
い刺激的な彫刻だが、体が一瞬フリーズするほどの磁力を放っていたのが硬
そうな石でできた‘エナジー・ヴォイド’。まるで石の王が立っているよう
だった。これがイサク・ノグチか、世界的に名の知られた彫刻家として称賛
されることに即納得した。そのあと、横浜美で色合いから海蛇を連想させる
‘真夜中の太陽’によく出会いどんどんこの彫刻家にのめりこんでいった。

大きな彫刻ではムーア(1898~1986)の‘横たわる像=アーチ状の足’
にも大変魅了されている。残念ながら日本でムーアの作品をみる機会は少な
い。すぐ思う浮かぶのは箱根にあるこれと熱海のMOAにある‘家族’。海外の
美術館で遭遇することはよくあるが、意外にも大きな作品はそう出くわさな
い。だから、箱根でみた‘横たわる像’によってムーアの大きな彫刻のイメージ
ができあがっている。

アルプ(1886~1966)は10数年前葉山の神奈川県近美で回顧展を
みたおかげで作品の特徴がつかめるようになった。この彫刻家の魅力はなん
といっても形の柔らかさ。抽象的な彫刻ではあるが、この柔らかさにより擬人
的な彫刻にみえ親しみやすくなっているし、ユーモアさえ感じられる。‘雲の
羊飼い’は滑らかで丸いフォルムは花のゆるキャラのようにみえたり、可愛い
幼子のよちよち歩きを連想する。


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