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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間’! ヴェネツィア派

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ティツィアーノの‘聖母被昇天’(1516~18年 サンタマリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂)

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   ジョルジョーネの‘嵐’(1505~07年 アカデミア美)

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 ティントレットの‘天国’(1588~92年 ドゥカーレ宮殿)

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  ティントレットの‘使徒の足を洗うキリスト’(1547年 プラド美)

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  ヴェロネーゼの‘カナの婚礼’(1562~63年 ルーヴル美)

ルネサンス絵画の画家がどんな絵を描いたかはイタリアを中心にして美術館
や聖堂をまわっていると、だんだんその画風のイメージがつかめてくる。
フィレンツェ、ミラノ、ローマなどを訪問すると美術の教科書でみたボッテ
ィチェッリ、ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロらの傑作が目に焼
きつけられ、感動の袋がぱんぱんに膨らんでくる。でも、もうひとつ感動袋
を用意しないといけなくなる。その理由はヴェネツィアへ行くと鑑賞エネル
ギーがドーンと吸収される名画の数々が待ち構えているから。

色彩の輝きを売り物にしたヴェネツィア派で最初にインプットされたのは
ヴェロネーゼ(1528~1588)。ルーヴルでダ・ヴィンチの‘モナ・
リザ’と同じ部屋に飾られている超大作の‘カナの婚礼’を描いた画家である。
ところが、ここでは‘モナ・リザ’に心の全部が占領されているから、いくら
縦6.7m、横9.9mのびっくりするほど大きな絵でもじっくりみること
がなく印象が薄くなる。そして、ヴェロネーゼの絵はルーベンスのようにど
この美術館でもみられる画家とはちがうので、そのうち誰が描いたんだっ
け?となる。美術が好きな人でもしっかり覚えてないこともあるだろう。
ダ・ヴィンチとのペアリングでは分が悪すぎた。

ヴェネツィアで美術館巡りをするまでティツィアーノ(1485~1576)
とティントレット(1519~1594)の区別がはっきりできてなかった。
似ている名前なのでよく混同した。これが100%解消したのはティツィア
ーノの最高傑作‘聖母被昇天’をみたとき。ヴェネツィアの街は道が迷路みたい
に入りくんでいるので、この絵が飾ってあるサンタマリア・グロリオーザ・
デイ・フラーリ聖堂に着くまで2回ぐらい迷った。聖堂のなかに入ると、
ありました々。祭壇の背後に描かれた真っ赤な衣服で身をつつんだ美形の
聖母の美しい姿に200%心を奪われた。こんなスゴイが宗教画があったの
か!この絵からティツィアーノとのつきあいがはじまった。

ティツィアーノの兄貴分のジョルジョーネ(1476~1510)の‘嵐’を
アカデミア美でみたことも一生の思い出。アカデミア美の名品展をまた日本で
開いてほしいと願っていて、これが出品されるのを期待している。船の帆だけ
は高くあげておきたいが、やはり無理か。
ティントレットで度肝を抜かれたのがドゥカーレ宮殿の‘天国’、この宮殿は団体
ツアーでは必ず行くので美術に縁がない人でもこの絵に描かれた聖人や天国へ
の門を開かれた人の群れにビックリ仰天だろう。プラド美にある‘使徒の足を洗
うキリスト’で大変惹かれるのは遠近法の消失点を中央から左のほうにずらし
空間の奥行きや横への広がりをみせるところ。


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