バーン・ジョーンズの‘アヴァロンにおけるアーサー王の眠り(1881~98年 ポンセ美)
バーン・ジョーンズの‘聖杯堂の前で見る騎士ランスロットの夢’(1896年 サウサンプトン市美)
ロセッティの‘アーサー王の墓’(1860年 テートブリテン)
ラファエロ前派でロセッティ(1828~1882)と同様に大変惹かれて
いるのがバーン=ジョーンズ(1833~1898)。待望の回顧展が10
年前三菱一号館美で開催され、ロンドンに行ったときゲットしたこの画家の
本(テートブリテン鑑賞の英語版)に載っている主要作品のいくつかをみる
ことができた。こういう鑑賞体験をすると、次はあの絵、この絵と作品の
コンプリートへの関心がたかまっていく。
ロセッティなら‘ダンテの夢’を何とかこの目でという強い願いがあるように、
バーン=ジョーンズにもみたくてしょうがない絵がある。でも、この夢は叶
いそうにない。その絵とはプエルトリコのポンセ美が所蔵する‘アヴァロンに
おけるアーサー王の眠り’。この横幅6mもある最晩年の傑作がどうしてプエ
ルトリコへ流失したのだろうか。イギリスの美術館におさまっているのなら
対面の可能性はあるが、遠い々島国プエルトリコだともう絶望的。
騎士たちの戦いの物語や不思議なファンタジーがまじりあっているアーサー
王の伝説は2005年に制作されたBBSの‘アーサー王’をNHKのBSでみ
たのでおおざっぱには頭に入っている。多くの詩人や作家たちによって長い
間語り継がれてきたこの物語にはアーサー王や騎士たちの武勇伝に加え、
様々な象徴的な品々が登場する。最後の晩餐で使われた聖杯、丸いテーブル
円卓、魔法の剣・エクスカリバー。この剣にはちょっとした思い出がある。
1995年、ラスベガスで遊んだとき泊ったホテルの名前が‘エクスカリバー’。
そのときはホテルのゴージャスな雰囲気に浮き浮き気分だったが、この剣が
アーサー王の物語における重要な場面を構成していることなど知る由もなか
った。
‘聖杯堂の前で見る騎士ランスロットの夢’はめぐりあわせがよく三菱一号館美
の回顧展にサウサンプトン市美からやって来た。ワッツ(1817~
1904)の‘サー・ガラハッド’はランスロットの子どもで父が果たせなかっ
た聖杯探索を実現する場面が描かれている。イギリスでは騎士道は‘ジェント
ルマン’の模範として称賛され、武勇に優れ信仰心の篤い騎士に成長したガラ
ハッドは青少年の目標となった。ロセッティもアーサー王が好きで‘アーサー
王の墓’を描いている。