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Channel: いづつやの文化記号
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Anytime アート・パラダイス! パトロン物語(16)

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  ‘分離派館’

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 クリムトの‘ソーニア・クニップスの肖像’(1898年 ベルヴェデーレ宮)

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 クリムトの‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ’(1907年 ノイエギャラリー)

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 クリムトの‘死と生’(1915年 レオポルト美)

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 シーレの‘ほおずきの実のある自画像’(1912年 レオポルト美)

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 シーレの‘沈みゆく日’(1913年 レオポルト美)

絵画の新しい様式が人々の好みを変え大きなムーブメントを起こすとき、
それを支持する資産家のパトロンや画商が強く関わっている。世紀末芸術
の潮流のなか分離派を立ち上げたクリムト(1862~1918)を支援
したのは裕福なユダヤ人たち。ウィーンにある‘分離派館’の建設資金のすべ
てを彼らがだした。ユダヤ人の支援こそが世紀末芸術を生んだと言って
も過言ではない。

クリムトは社交界で知られている貴婦人たちの肖像画を数多く手がけた。
‘ソーニア・クニップス’の夫はオーストリアの金属業界を牛耳る大物実業家
で、彼女は当時25歳。結婚の2年後にクリムトに肖像画を依頼した。
‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ’は現在、NYのノイエギャラリー
に飾られている。2013年、メトロポリタンから歩いて10分くらいの
ところにあるこの美術館を期待で胸をふくらませて訪問した。このとき
入館料はとられなかったが、今はどうなっている?

ユダヤ人の裕福な銀行家の娘に生まれたアデーレは18歳で結婚する。17歳
年上の夫フェルディナンド・ブロッホ=バウアーは金融業や砂糖工場を営む
億万長者だった。絶大な人気だったクリムトに肖像画を描いてもらうという
ので、首にピッタリはめるネックレスをオーダーメイドでつくらせている。
超高級ジュエリーが金箔全開で装飾されたアデーレの美しさをいっそう引き
立てている。

まだ縁がないレオポルト美をつくったルドルフ・レオポルト(1925~
2010)もユダヤ人。この美術館にあるクリムトやシーレ(1890~
1918)の作品はこれまで日本で開かれた二人の回顧展に何度か遭遇した
から、クリムトの‘死と生’やシーレの‘ほおずきの実のある自画像’などの楽し
ませてもらった。手元の作品情報にはまだみてないいい絵がいくつか残って
いる。とくにシーレの‘沈みゆく日’が気になってしょうがない。 


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