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‘髑髏のある静物’(1938年)
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‘アトリエⅡ’(1949年 ノルトライン=ヴェストファーレン美)
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‘鳥’(1953年 ルーヴル美)
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‘鳥と巣’(1955~56年 ポンピドー)
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‘草刈り機’(1961~63年 ポンピドー)
キュビスムを一緒に立ち上げたピカソは‘アヴィニョンの娘たち’で女の顔を
マントヒヒを連想させるアフリカの部族仮面で描き、観る者をぎょっとさ
せた。そして、相棒のブラックの静物画にも当惑するものが登場する。
意表をつく髑髏。‘髑髏のある静物画’は瓶やパレットなどが置かれたテーブ
ルに髑髏がでんとおさまり異様な存在感を発揮している。古典画ではブリ
ューゲルの‘死の勝利’にたくさん骸骨がでてきて、西洋社会おける‘メメント
・モリ(死を思え)’の話を強く意識するようになるが、近代絵画になると
骸骨が思い浮かぶのはベルギーのアンソールとブラックぐらいなものでほか
はほとんど出くわさない。
画家のアトリエはお馴染みの画題でマティスにもピカソにもある。ブラッ
クの‘アトリエ’シリーズは1949年から1956年までに8枚描かれた。
よくでてくる茶褐色が主体の暗い画面に画家が手に持つパレットや大きな
壺、ガラスの皿などが平板に横に並べられている。明るさを感じられる白
のところをじっとみると鳥が飛んでいることに気づく。室内に鳥が入って
きたのか?
大きな鳥はこの絵の4年後、ルーヴル美の天井画に登場する。‘鳥’はフラン
ス美術館総局の依頼を受けて描かれたものでシェリー翼2階 ‘アンリ2世
の控えの間’の天井に3点飾られている。白い太い線で輪郭された鳥が粗々
しく青と黒で表現されている。なんだか、マティスが体が自由に動かなく
なり手がけた切り紙絵を彷彿とさせる。シンプルなフォルムと白、青、黒
の組み合わせが心に響く。ポンピドーにある‘鳥と巣’も晩年のマティスの
イメージが重なる。
最晩年に描かれた‘草刈り機’はゴッホの‘烏のいる麦畑’を念頭においたもの
であることは明らか。これほどゴッホの絵と似ているとブラックは哲学的
あるいは宗教的な瞑想状態にあったのだろうと推察される。スペイン人の
ピカソとは晩年の生き方が随分違う。