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Channel: いづつやの文化記号
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メトロポリタン美 VS ワシントン国立美!(25)

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  ミロの‘農場’(1921~22年 ワシントンナショナルギャラリー)

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  ミロの‘ワインとオリーブ、タナゴナ’(1919年 メトロポリタン美)

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  ミロの‘じゃがいも’(1928年 メトロポリタン美)

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 ダリの‘超立方体 磔刑のキリスト’(1954年 メトロポリタン美)

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 ダリの‘最後の晩餐’(1955年 ワシントンナショナルギャラリー)

今年は以前のように展覧会に多く足を運ぶことは決めているが、6度目とな
る新型コロナの感染の拡大により出だしからつまずいている。そのため、楽
しみにしているミロ展(2/11~4/17 Bunkamura)、メトロポリタン
美展(2/9~5/30 国立新美)は会期の後ろの方で出かけることになり
そう。本音は前のめりの展覧会なので開幕したらすぐかけつけたいが、ここ
は我慢のしどころ。

ミロ(1893~1983)の初期の代表作‘農場’はワシントンのナショナル
ギャラリーが誇るお宝絵画のひとつ。この絵を買ったのはパリに滞在してい
た作家のヘミングウエイ。スペインの文化、自然が大好きなミングウエイ
は一目ぼれし、金をかき集めて手に入れた。ふたりはボクシング教室に通っ
ており、リング上で対戦したことがあるそうだ。巨漢と小柄な男のボクシン
グだから見る人たちの微笑をさそったという。大画面にモチーフのシールを
ペタペタ貼っていって完成したような絵だが、モンロッチの農家に実際にあ
ったものがすべて描きこまれている。家、大きなユーカリの木、農具、鶏小
屋、右の下にはカタツムリやトカゲがおり、遠くには働く農婦や馬がみえる。
幼児の心をもったミロの空想的な夢の世界がここにある。

2013年、メトロポリタンを訪問したとき遭遇した‘ワインとオリーブ、
タナゴナ’も初期の風景画。おもしろいのは前のほうはのどかな農地の感じな
のにその上は抽象画を思わせるような幾何学的なフォルムが横に広がってい
るところ。思わず足が止まった。1928年に描かれた‘じゃがいも’はタイト
ルと画面がすぐにはむすびつかない。中央の白い形はじゃがいも畑に立つ女
性。両腕を広げており、赤が首でこげ茶色が乳房を表している。じつに愉快
な絵である。

1950年代の半ば頃に描かれたダリ(1904~1989)の傑作がメト
ロポリタンとナショナルギャラリーにある。‘超立方体 磔刑のキリスト’には
度肝を抜かれた。こんな磔刑図があったのか!十字架は8個の立方体で構成
され、その前で体に傷のないキリストが宙に浮いている。キリストの足元で
は法衣を着たガラが見上げている。ナショナルギャラリーでダリ流の‘最後の
晩餐’をみれたことは大きな喜び。すぐ写真を撮った。あのシュルレアリス
トのダリが古典画のモチーフに自分流の表現で挑戦するのがスゴイ。


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