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Channel: いづつやの文化記号
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メトロポリタン美 VS ワシントン国立美!(24)

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  マティスの‘開いた窓、コリウール’(1905年 ワシントンナショナルギャラリー)

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    ‘黒人’(1952年 ワシントンナショナルギャラリー)

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  ‘若い水夫’(1906年 メトロポリタン美)

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  ‘座椅子のオダリスク’(1926年 メトロポリタン美)

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 ‘ナスタチウムと<ダンス>’(1912年 メトロポリタン美)

ワシントンのナショナルギャラリーへはじめて行ったのは1990年。アメ
リカに出張したとき、土日の休日を利用してNY・ワシントン観光を楽しん
だ。当時はまだ絵画趣味が入口のところだったから、ナショナルギャラリー
を案内してくれた人の後をついていくだけで精一杯。古典絵画や印象派な
どが展示してある西館をみたあと、光のトンネルを動く歩道でぬけて近現代
アートの楽園、東館に移動した。どの絵をみたかはとんと記憶されてないが、
名前を知っているマティス(1869~1954)のミニ回顧展‘モロッコの
マティス’のことはよく覚えている。

図録を購入するほどの熱心さはなかったが、主要な出品作が載っているパン
フレットは無料なのでを持ち帰った。西洋絵画に目が慣れたころ飾って
あった作品をチェックすると、普通ではなかなかみれないプーシキンにある
‘テラスにて’や‘カスバの門’、MoMAの‘モロッコ人たち’などのいい絵だっ
たことがわかり、貴重な鑑賞体験になった。だから、この美術館とマティス
は深く結びついている。

ナショナルギャラリーはこの後2回訪問した。‘開いた窓、コリウール’は
有名な絵でこの絵によって絵画に色彩の革命をおこし、マティスやドランは
‘ㇾ・フォーヴ(野獣たち)’というニックネームをつけられた。窓から見た
スペイン国境にほど近い港町コリウールの外景が自由な色づかいで生き生き
と描かれている。フォーヴィスムの誕生である。東館にはマティスルーム
は設けられここに最晩年に制作された切り紙絵が6点飾られている。‘黒人’
はその一枚。

メトロポリタンが所蔵する‘若い水夫’もコリウールでヴァカンスを過ごし
たとき知り合った漁師がモデル。マティスにとって色彩は画面構成に必要
と感じるものを使うので実際の漁師の顔や衣服の色は横に置かれている。
目や眉が緑の線で引かれズボンの濃い緑と響き合っている。
‘座椅子のオダリスク’では女性のまわりは得意の格子や縞模様などの幾何学
的な装飾モチーフでつつまれている。2004年西洋美で開催された
マティス展に出品された‘ナスタチウムと<ダンス>’は縦長の画面に代表作
のひとつ‘ダンス’が画中画として登場する。三脚台に置かれた花瓶からで
ているナスタチウムは金蓮花のこと。この絵には別ヴァージョン(プーシ
キン)があるが、色数の多いMETのほうが楽しい。


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