ベリーニの‘神々の祝宴’(1514~29年 ワシントンナショナルギャラリー)
ティツィアーノの‘鏡の前のヴィーナス’(1555年 ワシントンナショナルギャラリー)
ティツィアーノの‘ヴィーナスとアドニス’(1550年代 メトロポリタン美)
ヴェロネーゼの‘愛で結ばれたマルスとヴィーナス’(1570年代 メトロポリタン美)
ヴェネツィアで美術館巡りをするとき真っ先に出かけるのはアカデミア美、
ここでは14世紀から18世紀までのヴェネツィア派の名画が目を楽しませ
てくれる。主役をつとめるのはジョヴァン二・ベリーニ(1434~
1516)、ジョルジョーネ(1476~1510)、ティツィアーノ
(1488~1576)、ティントレット(1519~1594)、ヴェロ
ネーゼ(1528~1588)の面々。煌くような色彩や光の効果、動きの
ある構図のとり方により描かれたヴェネツィア派の様式は新しい流れをもた
らした。
プラドやロンドンのナショナルギャラリーでもヴェネツィア派は楽しめるが、
アメリカとなるとワシントン・ナショナルギャラリーとメトロポリタンにと
ても惹かれる絵がある。ヴェネツィア派の生みの親みたいな存在であるベリ
ーニはMETの‘聖母子’に思わず足がとまる。顔立ちのスッキリした聖母は
すごく生感覚があり親しみを覚える。ワシントンにある‘神々の祝宴’は画集に
必ず載っている主要作品のひとつ。ワインの神、バッカスにちなんだ古代
バッコス祭りの主題を描いている。
国立新美の‘メトロポリタン美展’に登場するヴェネツィア派は手元の情報で
はティツィアーノの‘ヴィーナスとアドニス’。猪に殺されることも知らずに
運命の狩りに出かけようとしているアドニスにヴィーナスが抱きついてい
るところが描かれている。この主題はいくつかのヴァージョンがあり、
プラドとウフィツィでもお目にかかった。背景の虹が印象深い。ナショナル
ギャラリー蔵の‘鏡の前のヴィーナス’にぞっこん参っている。横顔のヴィー
ナスをみていると古い映画にでてくる美人女優を連想する。
メトロポリタンにあるヴェロネーゼの‘愛で結ばれたマルスとヴィーナス’は
大変な傑作でプラハの皇帝ルドルフ2世が所有していた5点のうちのひとつ。
この絵はルーヴルの超大画面の‘カナの婚宴’、ロンドンのナショナルギャラ
リーにある天井装飾画‘愛の寓意’とともにアカデミア美以外の美術館で感動
した絵だから、特別な思い入れがある。