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ルソーの‘ノルマンディーの市場’(1830年代 エルミタージュ美)
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ルソーの‘グランヴィル近郊の眺め’(1833年 エルミタージュ美)
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ルソーの‘ランド地方の農園’(1844~67年 クラークコレクション)
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ドービニーの‘沼、ロンプレの近く’(1870年 ルーヴル美)
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ドービニーの‘ボッタン号’(1869年)
ルソーという名の画家は2人いるが、最初に覚えるのはバルビゾン派の風景画
家、テオドール・ルソー(1812~1867)のほう。オルセーを訪問する
と何点かみれるるので印象派の前に光が描写された風景画としてひとまず心に
刷り込まれる。だが、モネのような強烈な光で色彩が輝く感じではないので前
のめりになることはない。だから、コローの風景画と似たりよったりの受け止
め方が続くが、そのイメージがいい意味で壊されることが2度あった。
1回目の‘センス・オブ・ワンダー’は1999年、サンクトペテルブルクのエル
ミタージュ美でみたルソー。‘ノルマンディーの市場’はオルセーやルーブルに
あったルソーのイメージとまるで異なっていた。小品だが木々がなく建物と
市場に集まる人々の光景が力強く描かれていた。そして、‘グランヴィル近郊の
眺め’は思わず足がとまるほどいい絵。この農村の一角は地面に傾斜があったり
凹凸ができているので静かな空気が流れているのにどこか動きのある情景にみ
えてしまう。
三菱一号館美で開催されたアメリカのクラークコレクション展に出品された
‘ランド地方の農園’は画面の大半を占める木々の向こうにみえる青空はとても明
るく透明感があるため、印象深い風景画として深く記憶された。2回目のルソ
ーとの感動の対面は2018年の北欧旅行でおきた。その絵はデンマーク・
コペンハーゲンにあるニューカールスベア美に展示されていた‘モンブラン:
嵐の効果’、びっくりするほど大きな絵で遠くに描かれた雪をいただいたモンブ
ランが嵐のせいで揺れ動いているようだ。こんないい絵がルソーにあったとは!
この絵でルソーの評価がぐんと上がった。
2年前、新宿の損保ジャパン日本興亜美で以前から気になっていたドービニー
(1817~1878)の回顧展が開かれた。バルビゾン派の中核メンバーの
ドービニーが60点もならぶのは日本でははじめてのこと。収穫の作品はセー
ヌ川やオワーズ川を航行したアトリエ船、‘ボッタン号’を描いたもの。コロー的
なところやコンスタブル調の描き方がいろいろ浮かんでくる。この回顧展の前
は鑑賞作品が極めて少なく、ルーヴルにある‘沼、ロンプレの近く’にみられる沼
の水面の反射の表現に視線が釘付けにされていた。