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‘レベッカの略奪’(1858年 ルーヴル美)
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‘ジャウールとパシャの闘い’(1826年 シカゴ美)
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‘山峡におけるアラブ人たちの戦い’(1863年 ワシントン国立美)
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‘海からあがる馬’(1860年 フィリップス・コレクション)
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‘ライオン狩り’(1854~55年 ボルドー美)
ドラクロアの絵に登場する馬の圧倒的な存在感ほど記憶に長くとどまるもの
はない。画面の中から飛び出てきそうな荒々しい馬の絵は世界中のブランド
美術館に飾られている。最初に目が釘づけになったのはルーヴルにある‘テン
プル騎士団によるレベッカの略奪’。巨大な城塞から連れ去られようとして
いるレベッカを白馬が足を動かしながら待ち構えている。物語の展開を連続
的な動きでみせるドラクロアの描き方はほかの画家にはみられない唯一無二
のものでまるで映画のワンシーンをみているよう。
キリスト教と異教の争いのなかの恋のえがいたバイロンの‘ジャウール’を絵画
化した‘ジャウールとパシャの闘い’は2つのヴァージョンがあり、シカゴ美で
みたものは1826年に描かれた第一作目。次は1835年でこれはパリの
プティ・パレにある。2作目は2頭の馬もジャウールとパシャも最接近し
て闘っており、体の折れ曲がった人間と馬の絡み具合をぱっとみただけでは
うまくつかめない。これに対し、シカゴにあるものは2人の距離がまだもつ
れあうほど近くないため、見栄えのする剣の激しい鍔ぜりあいになっている。
ワシントンナショナルギャラリーが所蔵する‘山峡におけるアラブ人たちの戦
い’でまず目に入ってくるのは手前の馬が倒れ乗っていた男がもんどりうって
投げ出されている場面。こちらに陣取っているアラブ人たちは倒れた馬から
斜め右上に並ぶように配置され、動きのある構図をつくっている。そのから
向こう側に視線を移すと,今度はもう一頭の馬が左のほうにいる兵士たちに
向かって斜めに進んでいく。こういう画面構成によって奥行きのある空間が
生まれている。
ワシントンではもう一点いい馬の絵がみれる。それはフィリップス・コレク
ションにある‘海からあがる馬’。このスピード感のある見事な姿をみせている
2頭の馬は世界でもっとも美しい血統であるとされているアラビア種。ドラ
クロアの描くバロック的でダイナミックな画風にはうってつけの馬。
いつも主役をはる馬だが、たまには無残な姿をさらけ出すときもある。
‘ライオン狩り’は暴れまくる獰猛なライオンに足がすくむ。馬はドドーンと
倒されており上のライオンを早く仕留めないとエライことになりそう。