渋谷のBunkamuraで開催されているポーラ美コレクションによる‘甘美なる
フランス’(9/18~11/23)をみてきた。この展覧会は一緒にみてま
わった友人の情報がもとで足を運んだのだが、作品の予想としてはこれま
でみたものが多いのだろうと思っていた。ところが、それがいいほうに
ハズれ、まだお目にかかってない作品がたくさんでてきた。出品されたの
は全部で74点。ポーラ美自慢のフランス関連のオールスターがずらっと
並んだという感じ。美術ファンもよく知っており、平日なのに女性を中心
に大盛況だった。
紹介するのは初めてみたもののなかでぐっときたもの。もちろん、チラシ
を飾っている人気のルノワールの‘レースの帽子の少女’やモネの‘睡蓮’、
ゴッホの‘ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋’などもどんと展示されている
のでご安心を。
さて、収穫の一番手となるのがマティス(1869~1954)の‘襟巻の
女’。どういうわけかこのマティスは情報の外にあった。日本の美術館がも
っているもので印象に残っているのはひろしま美にある‘ラ・フランス’と
ア―ティゾン美(旧ブリジストン美)の‘青い胴着の女’。でも、このポーラ
にあるのが断然よくいきなりランキング1位におどりでた。
マティスのフォーヴィスム仲間だったキース・ヴァン・ドンゲン(1877
~1968)にも嬉し絵が5点も並んでいた。思わず足がとまったのが
‘灰色の服の女’。今も大谷コレクションが存在するのか、それとも売却され
ほかのコレクターか美術館の手にわたったのかはっきりしないが、ここに
ドンゲンの‘白い服の婦人’という心を打つ肖像画があった。これに並ぶドン
ゲンが箱根にあったとは!
エコール・ド・パリのシャガール(1887~1985)の‘村と私’が突然
目の前に現れた。ニューヨークのMoMAにある同名の絵は美術の教科書
に載っているシャガールの有名な代表作。これは1911年に描かれて
いるが、ポーラのはその10年ちょっと後の別ヴァージョン。ベルギーの
ブリュッセルにある王立美でももう一つのヴァージョンに遭遇したが、
ポーラもしっかりコレクションしていた。パリ派のなかで衝撃の一枚があ
った。それはスーティン(1893~1943)の‘青い服を着た子どもの
肖像。色がとても鮮やかで首のところの赤が輝いている。日本にあるスー
ティンというと西洋美の‘狂女’が思い浮かぶが、これからはこの絵がとって
代わりそう。
キスリングとは縁が深く運がいいことに2度も回顧展を体験した。だから、
国内にあるキスリングも多く目の中に入った。‘ファルコネッテイ嬢’につい
ても一瞬にみたことがあるような気がしたが、家に帰って図録をチェック
したら載ってなかった。赤い服は眩しいくらいインパクトがあり、緑の椅
子と効果的な配色となっている。これも即ランキング上位入りした。