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Channel: いづつやの文化記号
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Anytime アート・パラダイス! バーン=ジョーンズ(1)

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  ‘コーフェチュア王と乞食娘’(1884年 テート美)

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  ‘運命の女神の車輪’(1882年 オルセー美)

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    ‘希望’(1896年 ボストン美)

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   ‘天地創造の日々’(1870~76年 フォッグ美)

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     ‘深海’(1887年 フォッグ美)

ラファエロ前派の‘ビッグ3’はロセッティ、ミレイと第二世代のバーン=
ジョーンズ(1833~1898)。カラヴァッジョ同様、画集に載って
いる作品を叶うことなら全部みたいと願っている画家たちである。バーン
=ジョーンズについては2012年、三菱一号館美で回顧展が開かれ、
イギリスの美術館からいい絵がたくさんやって来たので画家との距離がぐ
んと縮まった。また、その2年後にも森アーツセンターギャラリーでも
‘ラファエロ前派展’があり、バーン=ジョーンズのビックリするような大作
と遭遇した。だから、日本にいても結構いい思いをしている。

バーン=ジョーンズと最初に縁があったのはロンドンのテート美の‘コー
フェチュア王と乞食娘’。王と乞食の娘の物語はエリザベス朝のバラード
(詩歌)からとられたものなのでイギリス通でないと深く入り込めない。
サプライズだったのは縦長の額縁の大きさ。なんと縦2.93m、
横1.35mもあるから見ごたえ十分、下の床に座っている王から順に娘、
立っている2人の女とみていくとだんだん物語の中に誘われる。

オルセーにある‘運命の女神の車輪’も2m×1mの大作、ぱっとみると中央
の車輪が短縮法で横のほうから描かれているので車輪のイメージが掴みに
くいが、ここに3人の裸の男が組体操をしているように張りついている。
真ん中の男は上の男の足を頭で支えており、インパクトのあるこの姿が絵
の印象を決定づけている。男たちの体の大きさを勘案すると車輪を回して
いる運命の女神はガリバー並みの巨人ということになる。こういう構図を
思いつくのだからバーン=ジョーンズの画才のレベルは相当高い。

ボストン美はこれまで3回訪問したが、‘希望’をしかと見たという実感が
あるのは3度目の2015年のアメリカ旅行のとき。はじめのころは
バーン=ジョーンズを知らなかったから、関心はモネ、ルノワールやゴー
ギャン、ゴッホばかりにいっていた。だから、必見リストにこの絵を載せ
ておいた。女性の体のS字に曲げられたラインや花を抱える右手、上にの
ばされた左手をうっとりながめていた。縦長の画面で窮屈そうだが、ポー
ズの美しさからそれが気にならない。

‘天地創造の日々’と‘深海’は日本で披露されたハーバード大のフォッグ美の
コレクション。‘天地創造’は天使たちが手にする水晶のなかに神が創造した
ものが描かれている。左が第5日目で海と空の動物がつくられ、右の6日
目は陸の動物と人間がつくられた。海の底にいる人魚が裸体の男を抱きか
かえている‘深海’も忘れられない。人魚の絵というとこれと鏑木清方の絵を
すぐ思い浮かべる。


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