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Channel: いづつやの文化記号
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Anytime アート・パラダイス! ドニ(1)

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  ‘マレーヌ姫のメヌエット’(1891年 オルセー美)

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   ‘家族の肖像’(1902年)

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   ‘内なる光’(1914年 ストラスブール美)

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    ‘母子’(20古典絵画二世紀 マルモッタン美)

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   ‘マリンボーダーの服を着たアコ’(20世紀)

はじめてオルセーに行ったときは気が張って館内ではずっと興奮状態だった。
事前につくった必見リストを手に1点でも見逃すまいと限られた時間をかけま
わる。だから、鑑賞の優先順位をどうしても付けざるをえない。印象派の
マネ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ドガ、ロートレック、後期印象派のゴッ
ホ、ゴーギャン、新印象派のスーラ、まずこういう絵をおさえて、あとはアン
グル、シャヴァンヌ、モロー、ミレー、クールベもしっかりみる。これくら
いみると予定の鑑賞時間は残り少なくなる。ここで目に気合を入れ直して、
ルドン、アンリ・ルソーと対面。そして、最後はナビ派のコーナへと進む。

ナビ派は当時馴染みがなく創始者のモーリス・ドニ(1870~1943)
の平坦な色面と装飾的な表現が特徴の作品はそれほど心を打たなかった。
ところが、2011年損保ジャパン美であった回顧展で画風ががらっと
変わった現代版の聖母子像に遭遇し、ドニに対する評価がどんと上がった。
オルセーにある‘マレーヌ姫のメヌエット(ピアノの前のマルト)’のモデル
は妻のマルト。ピアノや衣裳に装飾性を出しているが、人物描写はオーソ
ドックスな三次元的な構成がみられる肖像画だからゆったり向きあえる。

‘家族の肖像’は本当に心が和む作品。ふっくらとした優しい顔立ちのお母さ
んマルトと可愛い3人の子ども。これ以上に幸せな家族の姿があるだろうか、
と思わせる一枚。これは回顧展のチラシに使われていた。これをみたら誰だ
って美術館に出かけたくなる。ドニがこんなすばらしい家族の絵を描いてい
たとは!おもしろいのは‘内なる光’、一見すると同じモデルを4人別々に配
置したのかと錯覚するさせられる。よくみると左でテーブルに手をおいてい
るのが母親?で、残りの3人は娘たちだろうか。

モネのコレクションで知られるマルモッタン美でお目にかかった‘母子’はこ
ちらをじっとみる裸の赤ちゃんが印象深い。まるでラファエロの聖母子像
をみているよう。ドニは1898年のイタリア旅行を契機に古典絵画に開眼
し、宗教画の復興や革新をめざしてフランス各地の教会壁画などを制作した。
赤ちゃん同様とてもいいのが愛息を描いた‘マリンボーダーの服を着たアコ’。


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