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‘風の花嫁’(1914年 バーゼル美)
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‘愛しあう2人’(1912~13年 ボストン美)
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‘アルマ・マーラーの肖像’(1912年 東近美)
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‘聖女ヴェロニカ’(1911年 ブダペスト国立美)
オーストリアのウィーンで美術館巡りをすると2つの楽しみがある。ひとつ
は美術史美、名画がたくさんあるのでどれをあげても美術館の看板にふさわ
しいが、最大の見どころはやはりブリューゲル。この美術館の名品展が日本
で度々開催されてきたが、残念ながらブリューゲルは一点もやって来てきて
いない。‘美術館はお宝中のお宝は簡単には貸し出さない’、という法則の通
りになっている。
もうひとつのお楽しみはベルべデーレ宮の国立オーストリア美、ここの目玉
がクリムトの代表作‘接吻’、そして脇を固めるのが同じオーストリアのシーレ
と表現主義のオスカー・ココシュカ(1886~1980)。ココシュカと
のつきあいはここに飾られていた肖像画からはじまった。代表作はこの宮殿に
はなく、スイスのバーゼル美に展示されている。その絵は‘風の花嫁’、花嫁は
ココシュカが25歳のとき激しい恋におちたアルマ・マーラー。このとき
アルマは32歳。画面全体が強い色調の青でおおわれ、二人の上半身だけ多
くの白がつかわれている。このため体の輪郭がつかまえられるが、足の部分
はまわりの波のようなうねりと重なってみえる。まさに愛の渦巻き!
東近美にある‘アルマ・マーラーの肖像’は貴重な一枚。アルマをファムファ
タル的に表現するところがココシュカ流。日本にココシュカの絵がよくあっ
たなという感じ。ちなみにクリムトは愛知県美と豐田市美が所蔵し、豐田市
美はシーレも手に入れている。オーストリアを代表する画家3人の作品が揃
っているのだから日本も美術大国である。
アルマとの関係を予感させるのがボストン美にある‘愛しあう2人’。裸体の立
ち姿で抱き合うココシュカとアルマが先に描かれたが、これとペアとなる‘風の
花嫁’も似たような色使いと荒々しい筆致により内面を深くとらえる絵画表現が
生まれている。‘聖女ヴェロニカ’はちょっと怖いイメージ。ヴェロニカが刑場
にむかうキリストに汗をぬぐうための亜麻布をさしだしたところ、その布に
キリストの顔が写ったという奇跡が描かれている。