江戸東博で多くの観客を集めている‘大浮世絵展’(3/2まで)、いい作品がどどっとでているので一生忘れられない浮世絵展となったが、図録をみるたびに残念なことがある。それはパリのギメ東洋美が所蔵する25点が江戸東博では公開されず、東京のあと巡回する名古屋市博(3/11~5/6)、山口県美(5/16~7/13)にいってしまうこと。
そのなかでみたい度の強いのが喜多川歌麿(1753~1806)、全部で7点ある。ギメが歌麿を何点所蔵しているのか知らないが、7年前太田記念美で開かれた‘ギメ東洋美蔵浮世絵名品展’のときは19点が里帰りした。今回の7点はこれとダブっているのは1点もない。
美術本によく載っているほど有名なギメの歌麿、揃物‘歌撰恋之部’の‘物思恋’と‘深く忍恋’は幸いにも‘写楽展’(2011年 東博)に顔をだしてくれたが、ほかの5点はまだ縁がない。これらも手元の歌麿本に載っているので、すごいラインナップの歌麿が名古屋、山口ではみることができる。
‘二つ枕’と‘武蔵野’は3枚続のワイド画面、これに‘虫籠’と‘婦人相学十躰 面白キ相’、そして‘北国五色墨 切の娘’、このうち鏡でおはぐろをチェックしている‘面白キ相’は国内にあるものをみたことがあるが、摺りの状態はあまりよくなかった。
吉原の遊女を描いた‘北国五色墨 切の娘’は追っかけ画の一枚、これは26日に日本浮世絵博物館がもっているものと対面することになっているのでちょっと安心。ギメのものは次の楽しみにとっておこうと思う。