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Clik here to view. ‘猫の当字 なまづ’(1836~44年)
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‘たこ’
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Clik here to view. ‘かつを’
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Clik here to view. ‘ふぐ’
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‘うなぎ’
美術館で展覧会をみたときはミュージアムショップで図録を購入するのが習
わしになっている。これを長年続けていると回顧展が開催される回数の多い
ア―ティストの場合、図録がどんどん積み上がっていく。これだと限られた
本棚の収録スペースがパンクする。そこで、図録の大集約を精力的に実施
している。こうして出来上がったMy図録には作品のダブりがなく多くの
情報が入っているのでずっしり重くなる。例えば、浮世絵師、歌川国芳
(1797~1861)は切り貼りで膨れた図録が3冊も本棚におさまって
いる。
国芳とのつきあいが長いのでこれまで手に入れた図録は10冊くらいになる。
浮世絵には北斎の‘富嶽三十六景’のようにシリーズものや揃いものがある。
富士山のような有名な版画は一度に全部はみれないが足繁く展覧会に通っ
ていれば思いの丈は叶えられる。ところが、それほど知られていない揃いも
のだと一度の回顧展でみれたとしてもそれらは現存するものの一部にとどま
ることがほとんど。だから、何度も回顧展を体験し運よくコンプリートでき
るとニコニコ顔になる。My国芳図録からいくつか紹介したい。
猫好きの国芳は猫と魚を組み合わせて文字を形作る‘猫の当字’というおもしろ
い絵を天保7~15年頃(1836~44)に描いている。現存するのは‘なま
づ’、‘たこ’、‘かつお’、‘ふぐ’、‘うなぎ’の5種類。左上のコマ絵に表題の魚が
図案化されている。文字の形をつくる主役は体の柔らかい猫たちだが、当の
魚も助演している。‘なまづ’では‘な’は猫4匹、なまづ2匹、‘ま’は複雑に体を
よじまげた猫5匹となまづ1匹の合作、最後の‘づ’は‘つ’の字は‘川’を崩した
ものなので‘川’に点々となっている。この川には猫となまづは何匹いる?
ほかで惹きつけられるのは‘ふぐ’、ここでは猫もふぐもダイナミックに体を変
形させ立派に文字をつくっている。‘ふ’の真ん中で怒りの表情をみせるふぐの
姿に強いインパクトがある。これに対し‘うなぎ’では大勢の猫が自在に形を
つくり、うなぎの存在感は薄い。