西洋美にある西洋絵画でもっとも有名なのはモネ(1840~1926)の
絵。‘睡蓮’をはじめとして‘ポプラ並木、夏’、`セーヌ河の朝、雨’、‘舟遊び’な
ど一級のモネがずらっと揃っている。このうち‘ポプラ並木’と‘セーヌ河’は
1990年ロンドンのロイヤルアカデミーで開催されたモネの連作にスポッ
トあてた大回顧展に出品された。
入館が3時間待ちとなるほどの大盛況だったが、日本の美術館からもこの2
点を含めて6点展示されていたのでびっくりした。モネのコレクションで名
高いオルセー、メトロポリタン、ボストン、シカゴなどと一緒に西洋美蔵が
ならんでいるのだからちょっと誇らしい気持ちになった。
ドラクロアの絵を彷彿とさせるルノワール(1841~1919)の‘アル
ジェリア風のパリの女たち’も目に焼きついている。ここをはじめて訪問と
きはア―ティゾン同様、印象派の作品の質の高さに感激した。日本でこん
な大きなルノワールがみれるとは。流石、松方コレクションである。
マネ(1832~1883)の‘ブラン氏の肖像’も立派な肖像画。ところが、
女性の肖像ばかりに心が寄っていたのでファーストステージでは印象が薄い。
ところが、いつもの鑑賞パターンだが肖像画をみる回数が増えるとともに
この絵の価値がぐんと上がってきた。
日本にあるシニャック(1863~1935)でベストワンは‘サン=トロペ
の港’かもしれない。絵のサイズが大きいのと点描の色の輝きと巧みな構図で
とらえた活気のある港の光景が目を楽しませてくれる。スーチン(1893
~1943)の‘狂女’も忘れられない絵。スーチンはお目にかかる機会が少な
いので、西洋美でこの絵に遭遇したのはひとつの‘事件’がおこったようなもの。