現在、迎賓館赤坂離宮の見学は予約なしで料金さえ払えば中に入れるが、
以前は年に一度?の公開に応募して当選すれば晴れて入館できるという
ことだった。10年くらい前、運よく当たり念願の濤川惣助(1847
~1910)の無線七宝での傑作花鳥画をみることができた。これは
生涯の思い出となるエポック的な鑑賞体験だった。
迎賓館はJR中央線四ツ谷駅の赤坂口から歩いて7分くらいで到着する。
よくTVのニュースで海外のお偉い人たちがこのヨーロッパの宮殿を連
想させる左右対称の見事な建物に入っていく様子が報じられるが、じっさ
いに中の雰囲気を同じように味わってみるとなんだかフランスやオースト
リアに来ているような気分になる。
花鳥の間大食堂に飾られている楕円形を縦にした七宝額は全部で30面。
この花鳥画の原画を描いたのは渡辺省亭(1851~1918)で、東博
にその下絵が保管されている。画像はもっとも魅了された‘尉鶲(じょう
びたき)に牡丹’。濤川は画期的な無線七宝の技法により絵画のような花鳥
画を生み出している。息を呑んでみていた。
迎賓館にはもうひとつ忘れてならない作品がある。それは藤田嗣治
(1886~1968)の‘銀座コロンバンの天井画’。6点あるがすべて
迎賓館におさまっている。常時展示されているのか確認してないが、われ
われがみたときは2点でていた。過去にでかけた藤田嗣治展で‘野あそび’や
‘天使と女性’など4点お目にかかったが、この2点が残りの絵だったかは
よく覚えてない。