行きつけの美術館へ出かけるのは毎日の散歩と同じで毎日を楽しく生きてい
くためのルーチンワークのようなもの。だから、広い東京を西へ東へと動い
ても体が疲れるということはない。でも、ときどき美術館に到着するまで
傾斜のある坂道を歩いたりエスカレーターに乗って深い谷底から上がってく
るようなこともある。六本木にある泉屋博古館分館はそれを経験する美術館
のひとつ。
泉屋博古館を訪問するときは近くにある大倉集古館と連チャンすることがよ
くあった。分館ができたのは2002年。何度か通っているうちに住友の
コレクションの特徴がつかめてきたが、絵画で嬉しいのが日本画の橋本雅邦
(1835~1908)と狩野芳崖がみれること。作品の数は雅邦の方が
多く(5点くらい)、‘深山猛虎図’や‘春秋山水’など見ごたえのある作品が目
を楽しませてくれる。
ここにはモネ(1840~1926)の若い頃の作品が2点ある。回顧展に
お呼びがかかる‘モンソー公園’と‘サン=シメオン農場の道’。モネとはね
んごろなつきあいをしているから、国内の美術館にはどの絵があるかはだい
たいインプットされている。モネに関連した展覧会がアーチゾン美である。
タイトルが‘琳派と印象派’とくれば感動二段重ねは間違いないが、コロナ感染
がまた多くなっているので行けそうにない。
藤島武二(1867~1943)の図録の大整理を2ヶ月前行った。そのな
かに‘幸ある朝’もしっかり入っている。
板谷波山のやきものも住友コレクションのお宝のひとつ。波山をたくさん所蔵
しているのは出光、泉屋博古、新潟の敦井美、MOA,そして地元の茨城県
陶芸美。分館でも2009年に回顧展が開催された。‘彩磁更紗花鳥文花瓶’は
お気に入りの一つ。また、初代宮川香山(1842~1916)についても
‘青華紅彩桃樹文耳付花瓶’など優品が揃っている。流石である。