ラファエロの‘キリストの変容'(1520年 ヴァティカン博)
世界中の観光立国が新型コロナウイルスに悲鳴をあげている。人気のイタリ
ア、スペインに観光客が戻ってくるのは一体いつになるのだろう。訪れた
回数の多いこの二つの国でみた観光客の数は半端ではない。そんな活況に満
ちあふれたローマやフィレンツェ、マドリードやバルセロナの街に人が寄り
着けないという事態をつい半年前に想像した人はいる? いるはずがない。
つくづくウイルス感染は怖いなと思う。
ヨーロッパ観光は季節的にはこれからが本当に楽しくなる。このGWにでか
ける予定だった人は大勢いたにちがいない。不思議なもので無理やり行動を
制限されると逆にイタリアやスペインの街々に対する思いが強くなる。
フランクフルト生まれのゲーテも南のあたたかいイタリアへ行きたくてしょう
がなかった。‘イタリア紀行'を読むとその気持ちがよく伝わってくる。
ゲーテは驚くほど絵画好き。どんな画家たちがでてくるかあげてみると、
ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、グエルチーノ、コレッジョ、
グイド・レーニ、カラッチ、ドメニキーノ、ジョルダーノ、コルトーナ、
プッサン、ロラン、、
ローマで感激の極みだったのはミケランジェロが描いた天井画と‘最後の審判'
があるシスティーナ礼拝堂。この壁画を絶賛している。‘システィーナ礼拝堂
を見ないでは、一人の人間が何をなし得るかを眼のあたりに見てとることは
不可能である。偉大で有能な人物のことをたくさん人に聞いたり本で読んだ
りするが、しかしここにはそれが頭上に眼前に未だに生き生きとして存在す
るのである。'
ミケランジェロ同様、ラファエロにも心が強く向かっていたようで最晩年の
‘キリストの変容'やバルベリーニ宮にある‘ラ・フォルナリーナ'をしっかりみ
ている。また、パラッツォ・ファルネーゼに出かけてアン二バレ・カラッチ
が手がけた神話をモチーフにした天井画を楽しんでいる。
ここは現在フランス大使館として使われており、この天井画は一般公開され
てない。でも、ときどき見る機会があるらしい。なんとかこれにもぐりこみ
たいのだが、果たして。