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Channel: いづつやの文化記号
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美術館に乾杯! 井原市立田中美術館

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    平櫛田中の‘幼児狗張子’(1911年)

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          ‘尋牛’(1978年)

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          ‘牧人’(1965年)

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        ‘平安老母’(1949年)

山陽自動車道の笠岡ICで降りて下の方へ行くと笠岡市で上の方に位置する
のが井原市。この街もすごい彫刻家を輩出している。近代日本木彫界の
最高峰といわれる平櫛田中(ひらくしでんちゅう 1872~1979)。
はじめこの田中という名が覚えられなかった。知らない人は田中美術館を
たなか美術館に呼んでしまうにちがいない。

広島に住んでいる間、芸術家にいろいろ出くわした。この平櫛田中もその
ひとり。その生命力は尋常ではなくなんと107歳まで生きている。作品
とのつきあいはこの美術館からはじまった。そして、東芸大美で傑作‘転生’
に遭遇し、茨城五浦の天心記念館では‘五浦釣人’、‘岡倉天心像’とお目にか
かった。そして、小平市にある平櫛田中館にも足を運び‘鏡獅子’の縮小ヴァ
ージョンも楽しんだ。この‘鏡獅子’についてはうまいめぐりあわせで
10/27のNHK日曜美術館でとりあげてくれる。確か田中にはじめてスポ
ットをあてるのではなかろうか。

ここにどれくらいの数の木彫が飾られていたか忘れたが、いくつかの作品
は今でも強く記憶に残っている。お気に入りは田中の長男をモデルにした
‘幼児狗張子’。はじめは犬の張子と遊んでいたのにまえのものが欲しくなり
手をだしてねだっている。じつに可愛い男の子。

‘尋牛’は禅の悟道における第一段階を造形化したもの。顔をくしゃくしゃに
した老人の歩く姿は一度みたら脳裏から消えない。広島県美にある‘落葉’で
描かれている僧とこの老人は同じ人物のようにみえる。

木彫に彩色した‘牧人’と‘平安老母’にも思わず足がとまる。ブロンズに比べ
木彫はぬくもりがあるので描かれた人物に近づきやすい。子羊を膝にのせ
一休みする牧人のくつろいだ感じがとても自然な感じだし、じっとみつめ
る老母の大きな愛を感じさせるやさしい表情をみると心が洗われる。


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